2002 Fiscal Year Annual Research Report
深海熱水噴出孔のフジツボ亜綱エボシガイ亜目Neolepasの分類と系統
Project/Area Number |
14340154
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山口 寿之 千葉大学, 海洋バイオシステム研究センター, 教授 (10101106)
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Keywords | Neolepas / 深海熱水噴出孔 / 分類 / 系統 / エボシガイ亜目 / 原始性 / インド洋 / 太平洋 |
Research Abstract |
深海熱水噴出孔のエボシガイ亜目Neolepas属の模式種N.zevinae、N.rapanuii(以上東太平洋)、およびN.osheai(南西太平洋)の3集団、伊豆小笠原海嶺の明神海丘、沖縄トラフの北伊平屋海嶺、伊平屋海嶺、伊是名海穴、鳩間海丘、第四与那国海丘(以上北西太平洋)、マヌス海盆(西太平洋)、北フィージー海盆、ラウ海盆(以上南酉太平洋)、インド洋、からの合計13集団の形態の記載、比較、分類を行った。また最初の冷湧水性となるエボシガイ類となるShinkaialepas(仮称)新属が、熱水域(北伊平屋海嶺、明神海丘)に見つかり、それらの新属新種を分類・記載した。 分子系統学的研究として、DNA解析の可能な標本をもつ下線をつけた4集団を用いてミトコンドリアDNAのCOI遺伝子および16SrRNA、12SrRNA遺伝子の塩基配列を分析し、それらの系統関係を構築した。 Neolepas属およびShinkaialepas属はそれぞれ単系統をなした。全4集団からのNeolepas属は、共通の祖先からインド洋集団とその他の集団とに分岐し、さらに他の集団はマヌス海盆と北伊平屋海嶺とに分岐した。したがって、南西太平洋にそれらの起源を求めることが可能である。 またマヌス海盆および北伊平屋海嶺のNeolepas属および北伊平屋海嶺および明神海丘のShinkaialepas属はそれぞれほとんど遣伝的距離が小さく、形態的特徴に加えて分子生物学的に同種と考えることが出来る。またそれらの遺伝的距離の小ささは、それらの分散過程を考える上で重要な問題を提供するように思える。
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