2002 Fiscal Year Annual Research Report
含鉄ケイ酸塩鉱物の溶解と先カンブリア時代の風化プロセス・速度
Project/Area Number |
14340159
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 隆 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (00253295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小暮 敏博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (50282728)
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Keywords | 大気の進化 / 鉱物-水-大気反応 / 風化 / 古土壌 / 黒雲母 |
Research Abstract |
先カンブリア時代の大気中の酸素の濃度変化は、地球化学的課題のみならず、生命の進化と密接に関連し、ここ数年、数多くの論文が報告されてきた。このような研究の主な対象となっているのは古土壌(paleosol)と呼ばれる、当時の風化を受けた岩石である。しかし古土壌は風化後、例外なく続成・変成作用を受けた弱変成岩であり、当時の風化過程は未だに理解されておらず、従って、古土壌から推定される大気酸素の濃度は常に曖味さを伴う。我々は大気酸素の濃度変化に最も敏感なFeの挙動から、当時の鉱物-水-大気の相互作用を明らかにし、大気酸素の濃度推定の基礎データにすることを研究目的をしている。 35-25億年前の大気中の二酸化炭素と酸素を想定し、酸素濃度がコントロールできるグローブボックス内でバッチ式の溶解実験を行った(非酸化的実験)。その当時の鉄の挙動が酸素濃度推定に重要なので、Fe-rich biotiteを試料として用い、100度で、7日から120日、水と反応させ、溶解プロセスを推定した。二酸化炭素の分圧は1atmで、シリンダーから反応容器に加圧した。酸素の分圧は3x10(-5)atmより低かった。比較のため、同様な実験を現在の大気の雰囲気下で100度で行った(酸化的実験)。酸化的実験では溶出したFe(II)が即座にFe(III)となり、Fe(III)が生成する、またこのため、溶液中ではFeは殆ど検出されない。非酸化的実験では溶液中のFe濃度が比較的多いのみか、Fe(II)を含む、vermiculiteが二次鉱物として、生成した。このことから、35-25億年前の風化では、Feを含んだ鉱物の溶解により、溶出したFeの一部は、系外に流出し、一部はvermiculiteとして系内に残ることが示唆された。これは古土壌で観察される鉄の挙動と調和的である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Murakami, T., Kasama, T., Utsunomiya, S.: "Reconstruction of 2.5 Ga weathering of Pronto granite"Geochimica et Cosmochimica Acta (Special Suppl.). 66. A537 (2002)
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[Publications] Murakami, T., Kasama, T., Sato, M.: "Biotitization of vermiculite under hydrothermal condition"Journal of Mineralogical and Petrological Sciences. 97. 263-268 (2002)
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[Publications] Kasama, T., Murakami, T., Ohnuki, T.: "Chemical changes of minerals trapped in the lichen Trapelia involuta : Implication for lichen effect on mobility of uranium and toxic metals"J.Nucl.Sci.Technol.(Suppl). 3. 943-945 (2002)
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[Publications] Kasama, T., Murakami, T., Ohnuki, T.: "The mechamisms of accumulation of uranium and toxic metals by lichen Trapelia involuta"Proc. 8th International Symposium on Biomineralization. (印刷中). (2002)