2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 博明 神戸大学, 理学部, 教授 (60019495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 桂子 神戸大学, 理学部, 助教授 (20192544)
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Keywords | 噴火機構 / 岩石組織 / 高温高圧実験 / 元素分配 / 角閃石 / 斜長石 / マグマ脱ガス / 爆発的噴火 |
Research Abstract |
この研究では主に歴史時代の主要な火山噴火について、噴出物の岩石組織に基づいて噴火機構を考察するもので、今年度については、雲仙岳1991-1995年、1792年噴火、富士火山1707年、864年噴火、岩手火山1732年噴火、等について検討をおこなった。これらの研究成果は今年度既報の印刷論文はないが、現在3編を投稿中であり、ここでは主にそれらについて主要な成果を記述する。 雲仙岳1991-1995年噴火については、噴出物の微小少部分析から、それらのマグマ混合モデルを確立し、さらに全岩の高温高圧相平衡実験から低温端成分マグマの生成条件の検討をおこなった。その結果、低温端成分マグマは温度780-800℃、H20/(H20+CO2)=0.8程度の条件で、斜長石、角閃石、黒雲母、等の斑晶を晶出させたが、石英斑晶はより低温あるいは低圧、X(H20)の低い条件で晶出したものが混合したことが考えられた。雲仙岳1991-1995年噴出物の角閃石と斜長石斑晶については、同様な反復累帯構造を呈しており、その解析と、角閃石-メルト間の塩素/水酸基の交換平衡分配定数から、これらの反復累帯構造がマグマの脱ガス/揮発性成分の添加によって生じたことが明らかになった。雲仙岳1792年溶岩は1991年溶岩と比べ全岩のSiO2がやや高いにもかかわらず、地形からみてより流動的である理由について検討をおこなった。1792年溶岩はより高温で水に乏しい条件のマグマであったためより流動的であったと考えられる。 東岩手火山は玄武岩がしばしば爆発的な噴火を生じる。斜長石斑晶はAnに富みその生成にマグマの含水量が高いことが考えられ高温高圧実験により1kb,2kb,5kbでのリキダス斜長石組成・元素分配係数を決定した結果、高An斜長石は2-3Kbで生じることが明らかになった。富士火山についても大半が玄武岩でありながら、864年噴火は溶岩流出で、1707年噴火は爆発的である理由が興味をもたれるが、斜長石の分配関係から検討した結果、玄武岩マグマ中に3-4wt%の水が含まれたことが明らかになった。864年噴火では浅所での脱ガスにより低An斜長石が晶出した。
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