2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340162
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 博明 神戸大学, 理学部, 教授 (60019495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 桂子 神戸大学, 理学部, 助教授 (20192544)
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Keywords | 粘性係数 / 富士火山 / 玄武岩 / 酸素分圧 / 結晶度 / Einstein-Roscoe |
Research Abstract |
H13、H14年度萌芽研究で準備したサブリキダスでの粘性係数測定をおこなった。試料は1707年富士玄武岩で、SiO_2量52wt.%の高アルミナ玄武岩である。リキダス温度は1227℃である。試料を円筒状白金るつぼに入れ、縦型電気炉で熱し、雰囲気はCO2:H2=40:1の比でほぼNNOの条件である。上部から粘度計からステンレス棒、セラミック棒(6mmφ)を繋ぎ溶融試料に一定深さ浸し回転のトルクを測定して粘性係数を求めた。1230℃から20℃刻みに温度を下げ、.約1日放置し粘性係数を測定し、さらに20℃温度を下げるという操作を繰り返し、1130℃まで測定をおこなった。粘度を測定した棒はそのまま引き出し急冷してそのガラス試料をEPMAで観察、構成相の分析をおこなった。こうすることで各温度でのメルト組成、結晶組成、結晶組織を把握することができる。結晶相は1150℃までは斜長石で、1130℃でかんらん石が晶出した。粘性係数は1230℃の50Pa secから1130℃の2,000Pa sまで100℃で約40倍に増加した。液のみの粘性係数はShaw(1972)を用いて計算すると、1230℃の50Pa sから1130℃での120Pa sまで2倍余りしか増加しない。これは温度低下に伴って斜長石が分別し液組成がFe,Mgに富み、A1に乏しくなったためである。従来のサブリキダスの実験はハワイソレアイトについておこなわれているが、それらはリキダスにかんらん石が晶出するため、液の粘性係数は温度降下に伴い急速に増加するのとは対照的である。結晶の存在の場合、しばしばEinstein-Roscoeの式μ0/μ=(1-φ/0.6)^<2.5>が使われるが、今回の実験結果は(1-φ/0.3)^<2.5>で近似される。今回の実験で得られた斜長石は極めて薄い板状であるため相互の力学的な相互作用が強く、結晶度20-30%で急速に粘度が増加するという結果が得られた。この他、これまでおこなった斜長石と液のCa-Na分配に対する水の効果、角閃石-液間のC1-OHの元素分配の実験については投稿論文の査読が終わりそれらに甚づいて改訂稿し再投稿した。
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