2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340165
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
河野 元治 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (80224814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内木場 哲也 鹿児島大学, 総合研究博物館, 助教授 (20203531)
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Keywords | 鉱物 / 微生物 / 溶解 / 飽和 / 有機酸 / 有機分子 / 吸着 / 錯体 |
Research Abstract |
地球表層環境での鉱物-微生物-水相互作用を明らかにするため、微生物を含む反応系でのベーマイト(AlOOH)の溶解実験と微生物細胞表面へのAlイオンの吸着実験を行った。実験には、市販のベーマイト(商品名:活性アルミナ)とPseudomonas fluorescensを使用した。溶解実験にはポリエチレン製反応容器を用い、0.1mM NaCl溶液100mlにベーマイト1.0gを加え、次の3つの反応系について検討した。反応系(1):微生物を含まずHCl及びNaOHでpH調整をした反応系、反応系(2):微生物10^5、10^6、10^7、10^8、10^9cells/mlを含み栄養成分無添加の反応系、反応系(3):同量の微生物を含みグルコースを添加した反応系。 溶解実験の結果、微生物を含まない反応系(1)では、反応期間数日以内にギブサイトの飽和(log(IAP/K)=0)に達し、その後ギブサイト飽和状態が維持された。微生物を含む反応系(2)では、微生物量に応じてギブサイト過飽和(log(IAP/K)=0〜2.1)が維持された。一方、微生物とグルコースを含む反応系(3)では、反応系(2)とは逆にギブサイト不飽和状態(log(IAP/K)=0〜-3.0)が維持される結果が得られた。溶液pHの変化は、反応系(2)では微生物細胞の分解に伴うNH4生成により若干の上昇(pH7〜8)が認められ、反応系(3)ではグルコース代謝に伴う有機酸生成により急激は低下(pH3〜5)が確認された。このことから、反応系(2)でのAl濃度の増大は、細胞分解によって放出された有機分子とAlイオンとの錯体形成に起因し、反応系(3)でのAl濃度の低下は細胞表面への吸着によるものと考えられる。酸/塩基滴定によるP.fluorescens細胞表面の反応サイト数の定量と解離定数の最適化を行うとともに、Alイオンの吸着挙動を解析した結果、反応系(3)では細胞表面へのAlイオンの著しい吸着が進行していることが示唆された。
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