2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340165
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
河野 元治 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (80224814)
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Keywords | 鉱物 / 微生物 / スメクタイト / カオリナイト / 溶解速度 / タンパク質 / 多糖 / 反応サイト |
Research Abstract |
地球表層環境での鉱物-微生物-水相互作用を明らかにするため、スメクタイト(クニピアP)およびカオリナイト(KGa-1)の溶解速度に及ぼす微生物(Pseudomonas fluorescens)の影響を検討した。その結果、いずれの鉱物の場合にも微生物による著しい溶解速度の増大が確認された(10^9 cells/ml系でのスメクタイト溶解速度:約23倍の増大、10^9 cells/ml系でのカオリナイト:約10倍の増大)。これらの反応系での溶液中の有機分子を定量した結果、微生物細胞から遊離したタンパク質と多糖が高濃度に検出された。これらの有機分子の影響を評価するため、アルブミン(市販のタンパク質)およびキサンタン(市販の多糖)を用いてスメクタイトとカオリナイトの溶解実験を行った結果、微生物系の場合と類似した溶解速度の増大が確認された。このような溶解速度の増大は溶液中の有機分子に存在する電荷サイト(反応サイト)による鉱物表面との反応が主要溶解機構であると想定される。そのため、各有機分子表面の反応サイト数を酸塩基滴定データのFITEQL計算で最適化し、この反応サイト数を用いて各鉱物の溶解速度の規格化を行った。その結果、鉱物の溶解速度は有機分子の反応サイト数に依存して変化することが明らかとなった。これにより、溶液中に存在する有機分子の総反応サイト数を用いることで微生物による鉱物の溶解速度への影響の定量的評価の可能性が示された。
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