2004 Fiscal Year Annual Research Report
星間有機物の生成・進化とその地球への供給に関する統一的シナリオの構築
Project/Area Number |
14340170
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小林 憲正 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20183808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 竹男 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (50191987)
橋本 博文 国立大学法人筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 講師 (50272175)
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Keywords | 生命の起源 / 地球外有機物 / 複雑有機物 / アミノ酸 / 宇宙線 / 重粒子線 / 高速衝突 / カルボン酸 |
Research Abstract |
本研究では,星間空間での有機物の生成,変成(進化),地球への搬入の各ステップを一連の過程としてとらえ実験を行うことにより,地球外有機物の生命の起源での役割を評価することを目的とした。 1.星間環境での有機物の生成 星間塵中に存在するメタノール・アンモニア・水の混合物にγ線,もしくは重粒子線加速器(放医研)から種々の重粒子(ヘリウムイオン・炭素イオン・アルゴンイオンなど)を照射した。この生成物は高分子量の「複雑有機物」であるが,その酸加水分解物中に種々のアミノ酸の生成が確認された。グリシンのエネルギー収率は,一般に重粒子線の方がγ線よりも高い値を示した.また,混合物を液体窒素中で凍結した状態で照射した場合も,ほぼどじエネルギー収率でアミノ酸が生成した。この複雑有機物をゲルろ過法で分子量推定したところ,約2300,1700等の分子を含むことがわかった.以上から,星間空間でメタノールなどを含む氷から宇宙線の作用により高分子のアミノ酸前駆体が生成可能であることが示された。 2.惑星および星間環境での有機物の変成 遊離アミノ酸と結合アミノ酸(タンパク質および「複雑有機物」中のアミノ酸前駆体)を試料として,γ線や重粒子線に対する安定性を比較した.遊離アミノ酸よりも結合アミノ酸の方が熱およびγ線に対して高い安定性を示した.また,照射による分子量変化はごくわずかで,高分子の星間複雑有機物が宇宙環境で安定であることが示された。 3.レールガン衝撃による模擬タイタン環境下での生体有機物の生成 レールガンを用いて,模擬タイタンソリン(窒素・メタン混合気体に陽子線を照射して生成した複雑有機物)に衝撃を与えた時,生成物の酸加水分解物中にアミノ酸が検出された。このことは,タイタン環境下でも彗星の氷との相互作用によりアミノ酸などの生体有機物が生成可能であることを示唆する。
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Research Products
(7 results)