2004 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能分子分光学的手法を活用した生体機能とくに情報伝達の機構の解明
| Project/Area Number |
14340177
|
|---|
| Research Institution | Kanazawa University |
|---|
Principal Investigator |
大橋 信喜美 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (40019493)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 榮冶 総合研究大学院大学, 教授 (30011464)
川嶋 良章 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (60131009)
藤竹 正晴 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (40212188)
|
|---|
| Keywords | ペプチド分子 / フーリエ変換マイクロ波スペクトル / 純回転スペクトル / 内部回転 / three-top molecules |
|---|
| Research Abstract |
金沢大学において鋭意構築中であったノズルジェットFTMW分光器の最終調整を終え、スペクトルの本格的測定に着手した。当年度はメチルアニリンおよびN,Nメチルアセトアミドの純回転スペクトルの測定・解析を行いそれぞれ有意義な成果を得た。メチルアニリンは3種の内部回転運動を有するものであるが、今回とくにメチル内部回転運動に起因する非常に小さなA-A,E-E分裂の観測に成功し、これを解析して内部回転ポテンシャル障壁の導出に成功した。また、N,Nメチルアセトアミドは3個のメチル基を有するペプチド分子であるが、その内部回転運動による分裂によりスペクトルは複雑さを極めたが、群論的取り扱いにより観測されたすべてのスペクトル線の帰属を行い最小自乗法解析を成し遂げ、内部運動に関する重要な情報を得た。
神奈川工科大学に既設のノズルジェットFTMW分光器に関しては、(1)LabVIEWによるData acquisition systemの構築(2)64MS/s Digitizerの導入による高速A/D変換の実現とスペクトル分解能の向上(3)Hanning窓関数による波形処理によるスペクトル分解能の一段の向上を行うことにより分光システムの高性能化を成し遂げた。その上で、Ar-(CH_3)_2O及びNe-(CH_3)_2O錯体CF_3SF_3等の精密な純回転スペクトルを測定し得て、解析の結果興味深い内部運動に関する詳しい情報を得ることとに成功した。ことに、Ar-(CH_3)_2O及びNe-(CH_3)_2O錯体に関してはinversion運動に加えて、メチル基内部回転運動によるスペクトル線分裂を観測・解析して、ポテンシャル障壁など有用な情報を引き出した。また、神奈川工科大学のFTMW分光器で測定され、かねてより解析を行ってきた1,1ジメチルシラシクロブタンの純回転スペクトルの研究に関する論文がJournal of Molecular Spectroscopy誌に発表の運びとなった。
|
