2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340182
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
百瀬 孝昌 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10200354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 知成 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30273428)
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Keywords | 超流動液滴 / ヘリウム / 化学反応 / 高分子 / 高分解能分 / 生体分子 / パルスノズル / 誘導ラマン |
Research Abstract |
本研究では、超流動ヘリウム液滴を媒質とした化学反応研究の新しい手法を開発・確立し、それを実際の系に応用することを目的として研究を進めている。具体的には、(1)ファンデルワールス錯体の電子・振動・回転の量子レベルを選別した化学反応研究に超流動ヘリウム液滴法を適用する手法の開発、および、その応用として(2)ポルフィリンやレチナールなどの生体系で重要な物質の水和物等の状態・反応性に関する研究を行うことを目的としている。本年度は以下の成果を得た。 (1)パルス液滴装置の開発 これまで液滴の発生には連続フローのノズルが使われていたが、真空排気系への負荷が大きく、またパルスレーザーを用いた実験には不向き、などの難点を持っていた。そこで我々は、あらたに低温でも十分に使用できるパルスノズルを開発し、それを超流動ヘリウム液滴の発生に応用した。その結果、十分なパルス液滴を発生できていることが確認された上に、さらにこれまでの連続フローのノズルを用いた時よりも100倍以上の高効率で信号を検出できるようになった。 2)高強度赤外パルス光の発生装置の開発 錯体や高分子などの構造を精度よく調べるためには、赤外光を用いた振動回転分光が最適である。しかし、これまで10ミクロン帯域での赤外パルス光の発生は非常に難しかった。そこで、固体水素を非線形媒質に用いた誘導ラマン発生による赤外パルス光の発生装置の開発を行った。その結果、これまでに得られている赤外パルス光よりも十分強い強度を持つ光を発生できることが確認された。今後このパルス光を赤外領域のキャビティーリングダウン分光に応用する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Mikhail N.Slipchenko: "Intense Pulsed Helium Droplet Beams"Rev.Sci.Instru.. 73・10. 3600-1605 (2002)
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[Publications] Benjamin J.McCall: "Stimulated Stokes Downconversion in Liquid and Solid Parahydrogen"Appl.Phys.Lett.. 82・9. 1360-1362 (2003)
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[Publications] Mizuho Fushitani: "Generation of Infrared Radiation by Stimulated Raman Scattering in Para-Hydrogen Crystal at 5K"Opt.Lett.. 28・1. 37-39 (2003)