2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340182
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
百瀬 孝昌 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10200354)
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Keywords | 液体ヘリウム / 超流動 / 液滴 / マトリックス分光法 / LIF / 化学反応 |
Research Abstract |
本研究では、超流動ヘリウム液滴を媒質とした化学反応研究の新しい手法を開発・確立し、それを実際の系に応用することを目的とする。最近、ドイツ、アメリカのグループが、数万個のヘリウム原子が液滴状態に集合した超流動ヘリウム液滴の中に自在に分子を閉じこめることができ、その振動回転電子遷移の高分解能分光が可能であることを明らかにした。この超流動ヘリウムを化学反応の新しい媒質としてみると、以下の2つの大きな利点があると考えられる。(1)凝縮相でありながら、電子・振動・回転状態が完全に量子化しているため、量子レベルを選別した化学反応の研究が可能である。(2)液滴中に容易にファンデルワールス錯体を生成することができ、A+B→C+Dの様な反応に対して、始状態の構造を完全に規定した研究ができる。そこで、本研究では超流動ヘリウム液滴を化学反応の新しい媒質として応用することを目指した。本年度は、フタロシアニンのLIF高分解能分光を行い、水素やアルゴンなどの原子分子を少数つけたときに急激にLIF信号がブロードになることを見いだした。これは低温でも少数クラスターが大振幅振動をする可能性があることを示唆していた。この状態を用いると、極低温中における液体中の化学反応研究ができる可能性があり、その成果は低温科学に新たなインパクトを与えうるものである。さらにそのことを明らかにするため、超流動ヘリウム液滴中に捕捉したスチルベンの光異性化反応に対する溶媒効果を測定した。
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Research Products
(5 results)