2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340193
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 桂一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50114426)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 潤 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (00313172)
|
Keywords | サーモクロミズム / 蛍光強度 / サリチリデンアニリン |
Research Abstract |
温度の変化にともなって物質の色が可逆的に変化する現象はサーモクロミズムとよばれ,古くから化学者の関心を集めてきた.サーモクロミズムは,一般に,物質による光吸収が温度によって変化する現象であって,紫外可視吸収スペクトルの温度変化に対応するものと理解されてきた.しかし,物質が可視光を発し,発光強度が温度によって変化する場合には,それによっても色変化が起こるはずである.その発光が蛍光であれば,蛍光によるサーモクロミズムが発現することになる.しかし,有機結晶についての蛍光サーモクロミズムはほとんど報告例がない.私たちは最近,サリチリデンアニリン(SA)類結晶のサーモクロミズムが,蛍光サーモクロミズムであることを示唆する結果を得た.SA類は固体状態でサーモクロミズムを示す代表的な有機化合物であり,そのサーモクロミズムの原因は,淡色体であるOH形と濃色体であるNH形の間の平衡が温度によって移動することにあるとされてきた.本研究は,SA類のサーモクロミズムは,両異性体間の平衡移動ではなく,蛍光強度の温度変化に由来することを示すとともに,有機結晶における蛍光サーモクロミズムの一般性を明らかにしようとするものである.そのために,サーモクロミズムを示すいくつかのサリチリデンアニリン類を合成し,それらの微結晶粉末について,異なる温度における蛍光スペクトルを測定した.その結果,結晶の色変化は,主として蛍光強度の温度変化によるものとして説明できることが分かった.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] M.Iwaoka, T.Katsuda, S.Thmoda, J.Harada, K.Ogawa: "Heavy-Row Atom Effects on the Strength of the Weak Nonbonded Interaction between Divalent Seleniun and Halogen Atoms"Chem.Lett.. 31. 518-519 (2002)
-
[Publications] K.Ogawa, J.Harada: "Aggregation controlled proton tautomerization"J.Mol.Struct..
-
[Publications] 小島, 下井, 小川, 増田, 阿波賀: "現代物性化学の基礎"講談社サイエンティフィク. 228 (2003)