2002 Fiscal Year Annual Research Report
π共役炭化水素における歪んだビシクロ骨格の縮環によるビラジカル性の発現
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14340196
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小松 紘一 京都大学, 化学研究所, 教授 (70026243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西長 亨 京都大学, 化学研究所, 助手 (30281108)
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Keywords | クロスカップリング / 電気化学 / 一電子酸化反応 / ラジカルカチオン / 高歪みナフタレン / 大環状ジケトン / ジチイン / 渡環相互作用 |
Research Abstract |
(1)先に合成したBCHのジヨード誘導体を用いるクロスカップリング法により、ビシクロ[2.1.1]ヘキセン(BCH)の縮環したベンゼン(1)およびシクロオクタテトラエンの合成を行い、理論計算と電気化学的測定の結果から、これらがσ-π共役に基づくHOMOの上昇により極めて低い酸化電位をもつことを明らかにした。 (2)ベンゼン1についてSbCl_5を用いる一電子酸化反応を行った結果、ラジカルカチオンの生成とBCHユニットの転位反応を経て、1,2-および3,4-位にBCHユニットの縮環したナフタレン2が得られることを見出した。単結晶X線構造解析の結果、2はBCH骨格の歪みのため従来のナフタレンとは異なった結合および電子状態をもち、極めて容易に一電子酸化されて安定なラジカルカチオンを与えることがわかった。 (3)ナフタレン2,は歪んだBCHユニットの効果により、その縮環部である1,4-位にラジカル性が高く、この位置で容易に基底状態酸素と反応し、定量的に酸化生成物3を与えた。単結晶X線構造解析の結果、3は、一旦生成した1,4-エンドペルオキシドにおいてBCH縮環部の2本の単結合が切断されると同時にもとの2,3-結合が三重結合に変換され、全体として2個のシクロブタン環と三重結合を含む、ベンゾ縮環した12員環ジケトンという非常に珍しい構造を有することが明らかとなった。 (4)2個のビシクロ[2.2.2]オクテンの縮環した1,2-ジチインを新たに合成し、SbCl5を用いる-電子酸化反応を行った結果、生成したラジカルカチオン種は溶液中、徐々に不均化反応を起こし、これまでに例のない、スピンと陽電荷の非局在化した4中心7電子構造により安定化した、2,3,5,6-テトラチアビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン骨格をもつラジカルカチオン塩を与えることを見出した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] A.Wakamiya, T.Nishinaga, K.Komatsu: "1,2-Dithiin Annelated with Bicyclo[2.2.2]octene. One-and Two-Electron Oxidations and Formation of a Novel Tetrathiabicyclooctene Radical Cation with Remarkable Stability"Journal of the American Chemical Society. 124・50. 15038-15050 (2002)
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[Publications] T.Nishinaga, R.Inoue, A.Matsuura K.Komatsu: "Formation of a Novel Arenium Ion from the Radical Cation of a Twisted Triphenylene Fully Annelated with Bicyclo[2.2.2]octene Units"Organic Letters. 4・9. 1435-1438 (2002)
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[Publications] T.Nishinaga, R.Inoue, A.Matsuura K.Komatsu: "Radical Cation and Dication of Fluorene Fully Annelated with Bicyclo[2.2.2]octene Units : Importance of the Quinoidal Resonance Structure"Organic Letters. 4・23. 4117-4120 (2002)