2005 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物リン酸塩を用いた,動的なゆがみのある結晶の構築
Project/Area Number |
14340204
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
井本 英夫 宇都宮大学, 工学部, 教授 (20168529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
単 躍進 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (20272221)
手塚 慶太郎 宇都宮大学, 工学部, 助手 (00334079)
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Keywords | リン酸塩 / ヒ酸塩 / ニオブ / アンチモン / ジルコニウム / パイロクロア型 |
Research Abstract |
本研究は,MO_6正八面体型構造単位とXO_4正四面体型構造単位との結合により,新規物質系を開発することが目標であった。本年度においては,今まで特に集中的に研究を行ってきたニオブーリン酸塩系で全く予想されなかった化合物群の存在が明らかになるとともに,ヒ酸塩系への拡張によって新規化合物の合成に成功した. ニオブーリン酸塩系では,パイロクロア型酸化物と粉末X線パターンが一致する化合物が複数得られた。パイロクロア型酸化物はMO_6正八面体型構造単位のみからなるネットワーク構造であり,このようなネットワークに正四面体形構造単位であるリン酸イオンが組み込まれることはきわめて予想外の現象である。このような構造の化合物はCsAsTiO_5でのみ知られており,今回,複数の化合物が得られたことは,正八面体型構造単位と正四面体型構造単位との「置換型固溶体」が存在しうることを示唆しており,結晶化学的に全く新しい化合物群の存在が明らかとなった。 ジルコニウム-ヒ酸塩系では,RbZrO(AsO_4)という組成をもつ新規化合物が得られた。この化合物は,第2次高調波発生素子として著名なKTiO(PO_4)と同組成であるが,結晶構造は全く異なっている。類似する粉末X線パターンを示す既知化合物がなく,新規構造と考えられる。また,アンチモン-インジウムのヒ酸塩系では,ホランダイト型構造の新化合物が得られた。ホランダイト型構造化合物はマンガン,チタンなどの遷移金属の酸化物でよく知られているが,pブロック元素ではほとんど報告がなく,また,ホランダイト型構造がトンネル構造を有することを考えると,イオン交換などの化学的性質の応用が期待される。
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