2002 Fiscal Year Annual Research Report
金属タンパク質の機能を再現する高機能性金属錯体の合成
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14340210
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
小寺 政人 同志社大学, 工学部, 教授 (00183806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 航治 同志社大学, 工学部, 教授 (60038031)
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Keywords | 酸素運搬機能 / 二核銅錯体 / トリピリジン配位子 / ヘキサピリジン配位子 / O_2 / COサイクル / 可逆的酸素吸着 / 基質結合部位を持つ多核金属錯体 / リン酸エステル加水分解 |
Research Abstract |
1)効率的な酸素運搬機能をもつ二核銅錯体の合成を目的とする銅の配位構造歪みの最適化:立体障害として6位メチル基を持つトリピリジン配位子(L1)のメチン部位にメチル基またはエチル基を導入した新規配位子(L2,L3)を合成した。これらの配位子のCu(I)およびCu(II)錯体を合成した。これらの錯体の結晶構造と溶液中の構造を詳細に検討した。L1の錯体と比べて、メチン部位にメチル基、エチル基を導入したL2,L3の錯体は、それらの構造が大きく歪んでいる事が明らかになった。この構造変化は、メチン部位のアルキル基とピリジン環の3位水素原子との間の立体反発によってピリジン環が前方に押し出されるために引き起こされる事がわかった。ここで得られた結果は、Inorg. Chem.に掲載された。 さらに、立体障害を持つヘキサピリジン配位子(L4)においてもメチン部位にメチル基またはエチル基を導入した新規配位子(L5,L6)を合成した。これらの配位子のCu(I)錯体を合成し、酸素分子の可逆的吸着について検討した。メチン部位にメチル基をもつL5配位子の二核銅(I)錯体は酸素分子と反応して室温付近で安定な酸素錯体を生成した。この錯体の結晶構造を決定した。この錯体を用いて室温付近での酸素分子の可逆的吸着に初めて成功した。また、この錯体は、室温付近で、気体をO_2/COで入れ替えるだけで容易に酸素錯体と一酸化炭素錯体を定量的に生成する事が出来、ほぼ完全なO_2/COサイクルに成功した。 2)基質結合部位を持つ多核金属錯体の合成:リン酸エステルの加水分解を目的として、水溶液中で特異的にリン酸エステルを結合する二核亜鉛錯体を合成した。さらに、この錯体にヒドロキシエチル基を導入することにより、リン酸エステル加水分解の特異的加速に成功した。 以上の成果については、本年の日本化学会春季年会で発表するとともに、現在、論文を作成中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masahito Kodera, Yuuji Kajita, Yoshimitsu Tachi, Koji Kano: "Structural Modulation of Cu(I) and Cu(II) Complexes of Sterically Hindered Tripyridine Ligands by the Bridgehead Alkyl Groups"Inorganic Chemistry. Vol.42,No.4. 1193-1203 (2003)
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[Publications] H.Machinaga, K.Matsufuji, M.Ohba, M.Kodera, H.Okawa: "Hydrolytic Activity of Fe^<III>Zn^<II> Complex toward Di(p-nitrophenyl) Phosphate : A Functional Model of Heterobimetallic Phosphodiesterase"Chemistry Letters. No.7. 716-717 (2002)