2003 Fiscal Year Annual Research Report
励起分子間の相互作用と高温焼成を利用した新規な黒色顔料の研究
Project/Area Number |
14340216
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Research Institution | National University Corporation Yokohama National University |
Principal Investigator |
水口 仁 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90281005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 修次 東洋インキ製造(株), 顔料研究所, 所長
千住 孝俊 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (70322097)
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Keywords | 有機顔料 / 黒色顔料 / ペリレン / 結晶構造 / 電子構造 |
Research Abstract |
黒色顔料としてこれまでカーボンブラックが色調、堅牢性、価格の面で優れ、印刷インキや複写機のトナーをはじめとして生活の隅々まで使われている。しかし、カーボンブラックが炭化水素系化合物の不完全燃焼物であることから、ベンズピレン等の発癌性物質を含むことが判明し、今後はその使用が規制されることが予想される。また、カーボンブラックは電気伝導性であるので液晶ディスプレーのブラックマトリックスとしても利用できない難点がある。本研究では環境に優しく、かつ電気的に絶縁性である黒色顔料をペリレン系顔料で実現することを目的とした。黒色顔料のアイディアは分子の固有の吸収帯と分子間相互作用(遷移モーメント間の相互作用)に起因する吸収帯の双方で可視域全域を覆うものである。このアイディアを実現するペリレンとして、ベンゾイミダゾ誘導体に注目した。つまり、600nmよりも短波長に出現するバンドと700nm近傍に現れる吸収バンドを重ね合わせ、可視域全域を完全に覆い尽くすことである。ベンゾイミダゾ誘導体はきわめて安定で、高温焼成(500℃)しても分解することなく、結晶性が向上し黒色度が格段に増すことが確認された。また、相補的な吸収帯を有する2種類のペリレン顔料を高温で焼成して固溶体を形成すると同様な黒色ペリレン顔料が実現できることも分かった。以上のように環境に優しいことで知られるペリレン顔料系で、黒色で、しかも電気的に絶縁性の顔料の開発に成功した。また、科学的な寄与としてベンゾイミダゾ誘導体をはじめとするペリレン誘導体の単結晶を育成し、結晶構造を解析した。更にこれらの電子構造を顕微分光法により基礎的に明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] J.Mizuguchi, H.Shikamori: "Spectral and Crystallographic Coincidence in a Mixed Crystal of Two Components and a Crystal of Their Hybrid Component in Pyrrolopyrrole Pigments"Journal of Physical Chemistry B. 108. 2154-2161 (2004)
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[Publications] J.Mizuguchi, N.Tanifuji, K.Kobayashi: "Electronic and Structural Characterization of a Piezochromic Indigoid : 11-(3'-Oxodihydrobenzothiophen-2'-ylidene)cyclopenta[1,2-b:4,3-b']dibenzothiophene"Journal of Physical Chemistry B. 107. 12635-12638 (2003)
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[Publications] J.Mizuguchi: "The electronic structure of perylene pigments as viewed from their crystal structure and excitonic interactions"Advances in Color Science and Technology. Vol.6,No.4. 100-104 (2003)
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[Publications] J.Mizuguchi, H.Yamakami: "Structural Characterization of Y-like Titanylphthalocyanine"Journal of Imaging Science and Technology. 47. 25-29 (2003)
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[Publications] J.Mizuguchi, H.Takahashi, K.Shiokawa: "Desorption of Water Molecules and its Effect on the Dark Conductivity and Photoconductivity in X-Magnesiumphthalocyanine"Journal of Imaging Science and Technology. 47. 441-446 (2003)
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[Publications] J.Mizuguchi: "Crystal structure of a second modification of N, N'-di-n-butylperylene-3,4:9,10-bis(dicarboxyimide)"Zeitschrift fur Kristallograhie : New Crystal Structure. NCS218. 131-133 (2003)