2002 Fiscal Year Annual Research Report
典型元素を活性中心とする環境調和型ルイス酸触媒の設計開発
Project/Area Number |
14340227
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺田 眞浩 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50217428)
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Keywords | 典型元素 / 触媒 / 環境 / ルイス酸 / リン / 硫黄 / 超原子価結合 / 分子設計 |
Research Abstract |
本研究の成否は典型元素を活性中心とするルイス酸触媒を如何に分子設計するかにかかっている。平成14年度は典型元素としてリンならびに硫黄を選択し、これらを活性中心とするルイス酸触媒の開発を中心に検討した。まず、これまでの超原子価化合物の構造化学的な知見をもとに超原子価結合をとりうる基本的な骨格を設計した。一般に超原子価結合は電子求引性置換基によって安定化されること、また、リン、硫黄ともに超原子価結合を形成した際に三方両錐構造をとることが報告されている。そこで、三方両錐構造の安定化を図るための環構造の導入と、電子求引基の導入を分子設計の指針として研究を進めた。 リン原子を活性中心とする場合、5員環を主な環構造とし、電子求引性置換基にはフェノールあるいはスルホンアミドなどを導入したいくつかのホスホニウム塩を合成し、ルイス塩基との相互作用の有無を観測した。その結果、カテコール誘導体である5員環ジオキサホスファサイクルの場合にルイス塩基との配位が観測された。さらに、このホスホニウム塩をルイス酸触媒として用いたところ、Diels-Alder反応の顕著な加速が観測された。他のホスホニウム塩では触媒活性が認められなかったことから、構造と活性に大きな相関があることを見出した。現段階では活性にやや難があるものの、リン原子を活性中心とするルイス酸触媒の開発にはじめて成功した。一方、硫黄についてもアシルオキシ基を電子求引基とした5員環スルホニウム塩を合成しルイス塩基との配位の様子を観測した。用いるルイス塩基によって配位の様子は大きく異なり、比較的塩基性の高いピリジンなどでなければ配位を観測することはできなかった。現在のところ、強いルイス塩基の配位が観測されるだけに留まっているが、反応基質にルイス塩基性の高い官能基を導入すれば触媒として機能しうるのではないかとの考えのもと研究を進めている。
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Research Products
(1 results)