2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ多重結合での結合生成に基づく新しいラジカルカップリング反応
Project/Area Number |
14340229
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山子 茂 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30222368)
|
Keywords | ラジカルカップリング反応 / インドール合成 / 分子内環化反応 / シリルテルリド / イソニトリル |
Research Abstract |
炭素-炭素多重結合におけるラジカル的な炭素-炭素結合生成反応は極めて有効な炭素骨格構築法であり,広く有機合成に用いられている。それに対し,炭素-ヘテロ多重結合の利用は極めて限られている。本研究では,申請者らが最近見出したシリルテルリドとヘテロ多重結合との反応による炭素ラジカルの新しい発生法の発展をはかることで,炭素-ヘテロ多重結合における新しいラジカルカップリング反応の開発について検討を行った。 トリエトキシシリルフェニルテルリドとイミンより生成するα-シリルアミノラジカルの受容体として、イソニトリルとアルケンとを同一分子内に持つ基質を作用させることで、イソニトリルへの付加に続く分子内環化により、インドール誘導体が得られると考えて検討を行った。しかし、予期に反し、分子内環化反応は起こらず、イソニトリルとのみ選択的に反応したイミドイルテルリドが高収率で得られた。これは、中間に生成したイミドイルラジカルに対し、テルル基の分子間移動反応が分子内移動反応に優先して進行したためであると考えている。しかし、得られたイミドイルテルリドに対しスズヒドリドを作用させたところ、テルル基の還元を伴って分子内環化反応が起こり、対応するインドール置換体が高収率で得られた。さらに、スズヒドリドの代わりにアリルスズ化合物を用いると、環化反応に引き続いてアリル化反応が進行することも明らかにした。これらの方法は、炭素置換インドール誘導体の新しい合成手法として興味深いものと考えている。
|