2004 Fiscal Year Annual Research Report
生物群集の多様性とその決定機構の空間スケール依存性:潮間帯における大規模比較実験
Project/Area Number |
14340242
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
仲岡 雅裕 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (90260520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 隆史 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助手 (90240639)
山本 智子 鹿児島大学, 水産学部, 助手 (80305169)
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Keywords | 生物群集 / 空間スケール / 岩礁潮間帯 / 生物多様性 / 局所プロセスと地域プロセス / 類似度 / 食物網 / 生産性 |
Research Abstract |
本研究は、岩礁潮間帯群集を対象に、10-100cmのパッチ群集スケールから100-1000kmの地域群集スケールまでを階層的に組み合わせた定量調査・実験を行うことにより、群集の多様性や安定性、およびその決定機構に対する空間スケールの効果を検討することを目的とする。3年目となる本年度は、野外定量調査、環境観測、生物遷移実験、ベントス幼生の加入量のモニタリングを継続すると共に、これまで得られたデータを元に、1:生物多様性の緯度勾配、2:生産性と生物多様性の関連性の空間スケール依存性、3:フジツボ個体群の加入量と成体被度の関連性の解析を行った。 1:日本列島太平洋岸の岩礁潮間帯固着動物群集において、異なる空間スケールにおける種多様性の緯度勾配パターンを解析した。その結果、地域レベルの種の豊富さ(γ多様性)に明瞭な緯度勾配が見られた。また、γ多様性の緯度勾配は全ての空間スケールの多様性成分(α多様性とβ多様性)において消失されずに保たれていた。 2:岩礁潮間帯生物群集を対象に、生産性・多様性関係の空間スケールに伴う変化を解析し、その関係の生物分類群間、生産性の指標間、地域間、季節間での変異を比較検討した。その結果、従来陸上や淡水の生態系の研究で見られていたスケール依存的なパターンは検出されず、その原因として、環境異質性、メタ群集分散を通じた局所群集の連続性および移出入の頻度、空間を巡る競争などが他の生態系と異なる点が考えられた。 3:全国に見られるイワフジツボを対象に、空間スケールを階層的に設定した調査方法で、幼生加入量と成体被度の関連性を解明した。その結果、加入量は海岸間スケールで変異が最大になったのに対し、成体被度は空間スケールによる大きな差は見られなかった。加入量と成体被度の相関は、潮位およびその他の環境要因や地域により異なることが判明した。
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Research Products
(4 results)