2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340245
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中野 伸一 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 助教授 (50270723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 聡 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (90196816)
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Keywords | 河川 / 微生物膜 / 粘性境界層 / 環境測定 / 細菌 / 原生生物 / 付着藻類 / 微生物ループ |
Research Abstract |
本年度は、Microsensorを用いて、河川の付着微生物膜中およびその直上の環境測定を試みた。本機は、操作がむずかしく、また河川の微細環境測定は世界初である。このため、機器に習熟しかつさらに高い技術と情報を得るべく本機を製造・販売・技術サポートしているデンマークのオーフス市にあるMicrosensor社に赴いた。現地では、河川の自然石サンプルを用いて、本機による流速、溶存酸素濃度、水温の測定方法を習熟し、さらに本研究企画のきっかけとなった粘性境界層の存在の確認と本層内での流速と溶存酸素濃度の測定に成功した。帰国してからは、愛媛大学での微細環境測定システムを確立すべく、実験室内に人工河川系を作り、本機を導入した。測定には諸事の困難が伴ったが、幸いにも年度内に本機による測定が可能な状態に至った。 以上とは別に、自然河川における各微生物の現存量と組成の調査を行い、付着藻類の現存量の指標であるクロロフィル濃度の季節変動パターンと、細菌と原生生物の現存量の季節変動パターンが一致する傾向が得られ、これら微生物間での物質循環を示唆する結果となった。また、FISH法による細菌の群集解析については、従来のFISH法は人工培養系が確立した限られた細菌株については有効であるが、自然界に生息する雑多な細菌群集についてはいまだに問題をはらんでおり、現在も方法の検討を行っている。しかし、このことについては問題解決の道筋がすでに立っているため、支障はないと考えている。 なお、本研究で得られた成果の一部について、平成14年8月に韓国・ソウル市で開催された国際生態学会(INTECOL)、および日本陸水学会(東京・府中市)と日本微生物生態学会(三重・津市)において、それぞれ報告を行った。
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