2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340247
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
堤 裕昭 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (50197737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 実 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (40131916)
大和田 紘一 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (30013585)
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Keywords | 有明海 / 諫早湾 / 赤潮 / 富栄養化 / 干潟 / 貧酸素 |
Research Abstract |
九州西岸の有明海では、近年赤潮が頻発し、奥部海域では夏季に貧酸素水塊の発生も報告されている。近年の有明海におけるこれらの環境異変のメカニズムを解明するために、2002年4月〜2003年2月まで毎月1回有明海を縦断する方向に12調査地点、横断する方向に13調査地点を設置し、精密な水質調査(水温、塩分、DOならびにクロロフィル-a濃度の鉛直プロファイル、層別の栄養塩濃度の測定)を行った。これらの調査結果より、夏季の有明海奥部における貧酸素水塊の発生と秋季の珪藻による赤潮の発生には、いずれも大雨の後に発生し、その発生過程に次のようなパターンが見い出された。 ・夏の貧酸素水塊:梅雨期の大雨→河川からの大量の淡水の流入→表層の塩分低下による成層構造の発達・夏季の気温上昇に伴う水温の成層構造の発達→底層水の貧酸素化現象の発生 ・秋季の珪藻赤潮:秋季の大雨→河川からの大量の淡水の流入・大量の栄養塩の供給→低塩分・高栄養塩濃度の表層水の形成→赤潮の発生 1988年以降、秋季の赤潮は極端に大規模化する傾向が認められる。有明海奥部海域では、塩分や水温による成層構造が発達した時に、海水交換に大きな変化が生じ、本来発生すべき反時計回りの海水流動(循環流)が機能を停止または極端に弱まることによって、海水とくに低塩分化した表層水が奥部海域に滞留しがちになることで、貧酸素水塊および赤潮が発生している可能性が強く示唆される。また、この低塩分化した表層水の奥部海域への滞留には、諌早湾口およびその沖合の有明海における下げ潮時の表層水の流速の減少が大きく関与している可能性が考えられ、諌早湾干拓事業に伴う潮受け堤防の締め切りの影響で引き起こされている一連の現象と把えられる可能性が示唆される。
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Research Products
(1 results)