2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340247
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
堤 裕昭 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (50197737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 実 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (40131916)
大和田 紘一 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (30013585)
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Keywords | 諌早湾 / 有明海 / 赤潮 / 富栄養化 / 貧酸素化現象 / 成層構造 |
Research Abstract |
九州西岸の有明海では、1998年以降、奥部海域において、秋季から冬季にかけて大規模な赤潮が発生してきた。また、夏季には同じ奥部海域で、貧酸素化現象も発生していることが知られてきた。この研究では、2002年4月〜2004年3月まで、原則として毎月1回の割合で、小潮時から中潮時に、有明海奥部海域を縦断する方向に12調査地点、横断する方向に13調査地点を設置し、精密な水質調査を行ってきた。 その結果、有明海奥部海域全体に及ぶような(少なくとも数百平方キロメートルに及び、1ヶ月間以上にわたって継続するような)大規模な赤潮発生は、2002年度および2003年度には、6月〜7月、10月〜12月にかけて、年間に2回発生した。このときに共通する海洋構造が見られ、いずれの場合も、表層に低塩分層が形成され、そこへ大量の栄養塩が筑後川を中心とした河川から流入し、成層化した表層で異常に高い濃度に達し、その直後赤潮が発生していた。したがって、過去少なくとも20年間におよぶ有明海への流入河川や有明海の調査定点における水質調査の結果では、めだった富栄養化の進行は見られていないにもかかわらず、このような大規模な赤潮の発生が見られるようになった原因は、この表層の低塩分化による塩分成層の発達とそこへの栄養塩負荷の集中にあるということができる。 水塊構造における成層強度の強化は、気象条件が同じであれば、水平方向の潮流の低下によ鉛直方向の海水の混合が低下することによってもたらされる。1997年に諌早湾干拓事業に伴う潮受け堤防の締めきり後、諌早湾およびその辺の有明海奥部海域では、潮流の流速の低下が発生していることが明らかにされており、そのことによる成層強度の強化による鉛直混合の低下が、表層における栄養塩濃度の上昇と大規模な赤潮の発生をもたらしていることを、この研究における調査結果がつよく示唆している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tsutsumi, H., Tsukuda, M., Yoshioka, M., Koga, M., Shinohara, R., Choi, K.-S., Cho, S.- C.: "Heavy metal contamination in the sediment and its effect on the occurrence of the most dominant bivalve, Ruditapes philippinarum on the tidal flats of Ariake Bay in Kumamoto prefecture, the west coast of Kyusu, Japan.."Benthos Research. 58巻. 121-130 (2003)
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[Publications] 堤 裕昭, 木村千寿子, 永田紗矢香, 佃 正則, 山口一岩, 高橋 徹, 門谷 茂: "広域定期観測による有明海水環境の現状"沿岸海洋研究. 41. (2004)