2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340259
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes, National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
長濱 嘉孝 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (50113428)
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Keywords | 魚類 / 性決定遺伝子 / 精巣 / セルトリ細胞 / 性分化 / メダカ / DMY / DMRT1 |
Research Abstract |
本研究は、先に申請者らがメダカの性決定遺伝子の有力な候補として単離した遺伝子PG17の機能を明らかにすることを主な目的として計画された。PG17が性決定遺伝子であることの決定的証拠を示すために、遺伝的雌(XX)メダカの受精卵にPG17を含むDNA断片を微小注射により遺伝子導入し、これらのトランスジェニック個体における性、及び生殖腺でのPG17遺伝子の発現を解析した。その結果、PG17トランスジェニック個体ではXXであるにもかかわらず表現型は雄となった。また、生殖腺は精巣となり、精子形成は正常に進行し、受精能を備えた成熟精子がつくられた。これらの結果より、PG17はメダカの性決定遺伝子として決定され、DMYと命名された。 DMYのペプチド抗体を作成し、メダカ正常発生時における生殖腺での発現を免疫細胞化学法により解析した。DMYタンパク質は、生殖腺に明確な性分化が起こる直前のXY生殖腺中の生殖細胞を囲む体細胞(セルトリ細胞)で最初に出現し、その後も同細胞に特異的発現を示した。 DMYの標的遺伝子の有力候補としてDMRT1遺伝子を同定した。DMRT1遺伝子はDMYと同様にDMドメインを有し、精巣のセルトリ細胞で発現する。しかし、発現パターンは両者の間で大きく異なり、DMYが精巣分化に先立って発現がみられるのに対し、DMRT1は孵化後20日を経過した精子形成開始直前の精巣ではじめて発現を示した。また、DMYはY染色体に局在するが、DMRT1は常染色体(LG9)に存在する。 これまで脊椎動物において性決定遺伝子の作用機構は明らかにされていない。今後、DMY遺伝子の発現調節機構、標的遺伝子、特にDMRT1との関連、さらにはDMYの作用機構についてトランスジェニックメダカ等を駆使して、詳しく解析する必要がある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Matsuda et al.: "DMY is a Y-specific DM-domain gene required for male development in the medaka fish"Nature. 417(6888). 559-563 (2002)
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[Publications] Y.Ohmuro-Matsuyama et al.: "Expression of DMY and DMRT1 in various tissues of the medaka (Oryzias latipes)"Zoological Science. 20. 1395-1398 (2003)
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[Publications] Y.Nagahama et al.: "Sexual plasticity in fish : A possible target of endocrine disruptor action"Environmental Sciences. 11(1). 73-82 (2004)
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[Publications] M.Matsuda Y.Nagahama: "Positional cloning of the sex-determining region of medaka using a Y congenic strain"Aquatic Genomics-Steps Toward a Great Future. 236-243 (2003)
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[Publications] 長濱嘉孝: "動物の性はどのように決まるか?-序論-"蛋白質 核酸 酵素. 49(2). 97-101 (2004)
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[Publications] 長濱嘉孝, 小林 亨, 松田 勝: "魚類の性決定と生殖腺の性分化/性転換"蛋白質 核酸 酵素. 49(2). 116-123 (2004)