2002 Fiscal Year Annual Research Report
同時細胞内記録法によるザリガニ眼柄姿勢の中枢性補償のシナプス機構解析
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14340260
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| Research Institution | Hokkaido University |
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Principal Investigator |
高畑 雅一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10111147)
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| Keywords | 甲殻類 / アメリカザリガニ / 中枢性補償 / 平衡胞 / ノンスパイキング介在ニューロン / 樹状突起 / シナプス |
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| Research Abstract |
本研究は、甲殻類の眼柄や尾扇肢などの付属肢で古くから報告されている平衡石片側除去後の中枢性補償にかかわる脳内メカニズムを、同定ニューロンレベルで明らかにすることを目的とする。今年度は、アメリカザリガニProcambarus clarkiiを実験系として用い、眼柄運動系で同定される多重感覚性ノンスパイキング介在ニューロンであるNGI (Nonspiking Giant Interneuron)に着目して、その膜性質とシナプス活動を神経生理学的に解析した。樹状突起の入力抵抗・膜時定数は、正常個体と比較して、補償完成(姿勢回復)個体の除去側でのみ統計的に有意な増加を示すことが判明した(P<0.05)。NGIは、特徴的形態を示す樹状突起を前大脳の背側前部に伸ばすが、その正中線部分にガラス管微小電極を刺入して、自発的なシナプス電位の波形を定量的に解析した結果、NGI樹状突起膜性質の変化にも拘らず、個々の脱分極性および過分極性シナプス電位の振幅および半減時間に有意な変化は認められなかった。なお、樹状突起構造にも明瞭な変化は見られなかった。入力抵抗・膜時定数が増加したにもかかわらずシナプス電位の振幅、半減時間が変化しなかったという事実は、補償過程においてシナプス入力の減少が生じるが、この減少はNGI樹状突起膜性質の変化によって相殺されていることを示すと推定された。これらの結果は、NGI樹状突起膜の受動性質の変化が、1)シナプス入力の変化ではなく膜性質自体の変化に由来すること、また、2)NGIへのシナプス入力減少を補償する機能的意義を持つこと、を示唆しており、その結果として眼柄姿勢の回復が起こると考えられる。
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[Publications] Yamane, S., Takahata, M: "Experimental modification of stepping course in spontaneously initiated locomotor behavior in the crayfish Procambarus clarkii Girard"Journal of Comparative Physiology. 188. 13-23 (2002)
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[Publications] Suzuki, N., Takahata, M., Sato, K.: "Oscillatory current responses of olfactory receptor neurons to odorants and computer simulation based on a cyclic AMP transduction model"Chemical Senses. 27. 789-801 (2002)
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[Publications] Fraser, P.J., Takahata, M.: "Statocysts and statocyst control of motor pathways in crayfish and crabs. In : "Crustacean Experimental Systems in Neurobiology""Springer/Berlin. 89-108 (2002)
