2003 Fiscal Year Annual Research Report
「生きいてる化石」貝形虫類(甲殻類)の祖先形質および系統分類に関する研究
Project/Area Number |
14340267
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
塚越 哲 静岡大学, 理学部, 助教授 (90212050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田吹 亮一 琉球大学, 教育学部, 助教授 (60155231)
田中 滋康 静岡大学, 理学部, 教授 (90146233)
池谷 仙之 静岡大学, 理学部, 教授 (50022223)
生形 貴男 静岡大学, 理学部, 助手 (00293598)
神谷 隆宏 金沢大学, 理学部, 助教授 (09554024)
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Keywords | 生きている化石 / 進化 / 原始性 / 貝形虫 / 甲殻類 / 分類 / 多様性 |
Research Abstract |
貝形虫類の2大分類群であるPodocopaとMyodocopaのうち,前者に含まれるPlatycopida(目),Cytherelloidea(科),Keijcyoidea sp.と,後者に含まれるMyodocopida(目),Polycopidae(科)Axelheibergella sp.について,新たな知見が得られた.両者とも,その背甲と付属肢に多くの祖先的形質を残した「生きている化石」である.前者については,背甲の特異な蝶番構造について観察と考察を加え,その構造が単なる殻の開閉だけでなく,行動の際に外部から殻に加わるズレや捩れの力に対抗するために,他の貝形虫類には見られない構造を独自に進化させている可能性を示した.また,前者については,行動観察の結果から第1触角をほぼ180度動かして移動に用いるというユニークな性質を把握すると共に,この動きを司る筋肉のネットワークを調べたところ,他の貝形虫類とは大きく異なった体軸方向に長く伸びる筋肉が確認できた.この形質は,背甲の筋肉痕に反映されるため,化石に応用してこの形質の発現や進化について議論できる可能性を作った.後者の分類群については,北極海に近縁種が生息することがわかり,亜熱帯と北極海という広範な地域を祖先的な形質をもった系統が結びつけるという,深海や海底洞窟の群集で知られるような現象が見られた. 本年度夏季には,スウェーデンにおいてカンブリア紀,オルドビス紀,シルル紀の地層がみられる代表的な露頭を訪れ,この時代の貝形虫類とそれに近縁な節足動物化石を採集して,現世標本と比較するためのリファレンス標本を採集することができた.
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