2003 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導溶融バルク体の臨界電流密度の磁場中特性の制御
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14350006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
生田 博志 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30231129)
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Keywords | 溶融バルク超伝導体 / 高温超伝導体 / 臨界電流密度 / 補足磁場 / 元素添加効果 / ピン止め効果 |
Research Abstract |
本研究では様々な123系高温超伝導体の、元素添加や酸素処理による臨界電流密度(J_c)の変化を調べ、その溶融バルク体の特性との対応を探った。本年度はまず昨年度に続いて、大気中合成が可能なDy系にZnOを添加したバルク体を様々な条件で育成した。その結果、試料径、CeO_2添加の有無などにかかわらず、ZnOを0.025 wt.%程度の微量に添加したときに最もJ_cが向上し、捕捉磁場も高いことがわかった。さらに、Znは磁場誘起型のピン止め中心を形成することが期待されていたが、実際には磁場中だけでなくゼロ磁場でもJ_cが向上することが判明した。そこで、磁場中のJ_cが高いSm系にもZn添加を行ったところ、捕捉磁場が向上した。特に、バルク試料の局所的な特性を調べた結果、成長速度の違いに起因した211相の偏析が原因で特性が低下する種結晶直下領域でも、Zn添加によりJ_cが向上し、これが捕捉磁場の向上をもたらすことがわかった。また、フラックス法によるY系の単結晶も育成し、Zn添加による磁場中のJ_cの変化を調べた。さらに、最近微細な組織を有すると報告されたY_2Ba_4CuZrO_yを添加したSm系バルク試料の育成も行い、初めてバルク体の特性を評価して、1 mol%程度の微量添加で捕捉磁場が向上することを見出した。一方、希土類元素の比によってJ_cの磁場依存性が変化する(Nd-Eu-Gd)系については、昨年度に続いて出発組成をさらに幅広く変化させ、211相のGd含有量が高い場合に低温での捕捉磁場が高いことを示した。また、NdをSmに変えた(Sm-Eu-Gd)系でも同様に出発組成を変化させて直径30mmの単一結晶粒試料を育成し、J_cや捕捉磁場などを評価した。その結果、やはり211相の組成にGdが50%以上含まれているときに、特に高い捕捉磁場が得られることがわかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] T.Yamada 他: "Single domain, c-axis oriented (Nd-Eu-Gd)-Ba-Cu-O bulk superconductors"Superconductor Science and Technology. 16. 827-831 (2003)
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[Publications] T.Yamada 他: "Field trapping capability of melt-processed (Nd-Eu-Gd)-Ba-Cu-O bulk superconductors"Physica C. 391-396. 623-627 (2003)
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[Publications] B.Latha 他: "Position Dependence of Superconducting Properties of Large Single Domain Sm-Ba-Cu-O Bulk Superconductors Prepared under various Conditions"Physica C. 391-396. 521-525 (2003)
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[Publications] 生田博志: "超伝導バルク材料とその応用技術"応用物理. 72. 742-746 (2003)
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[Publications] B.Latha 他: "Effects of Zn Doping on the Superconducting Properties of the Melt Textured Dy-Ba-Cu_O Bulk superconductors"Jpn.J.Appl.Phys.. 43. 970-975 (2004)
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[Publications] T.Iwasaki 他: "Annealing melt-processed Sm-Ba-Cu-O bulk superconductors under 10 atm oxygen"Physica C. (印刷中).
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[Publications] H.Ikuta(共著): "High Temperature Superconductivity 1 Materials"Springer-Verlag, Berlin. 503 (2003)