2004 Fiscal Year Annual Research Report
トンネルギャップ差周波発生赤外光を用いた単一分子STMナノスペクトロスコピー
Project/Area Number |
14350017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 康二 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10107443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目良 裕 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40219960)
福谷 克之 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (10228900)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 赤外吸収 / 分子振動 / 非線形光学 / ナノ分解能 / 近接場 / プラズモン / 分析 |
Research Abstract |
差周波スペクトルが必ずしも再現しないことがあるため、その原因を調べた。その結果、用いる波長可変レーザー光の強度に変動があること、信号強度が探針の状態に強く依存することが明らかになった、前者については、波長可変半導体レーザーの出力強度を波長掃引と同時に測定することによって補正が可能であること、後者については、探針による光電場増強効果の違いが原因ではないかと推定し、いくつかの実験を行った。まず、大きな光電場増強効果が期待される銀探針の作成を試みたが、光電場増強効果を常に生じるような先鋭な探針を再現性よく作成することが困難なこと、また良好な状態を保持することが難しいことが分かった。そのため、やはり大きな光電場増強効果が期待されるカーボンナノチューブ(CNT)を探針に用いる新しい可能性を追究した。CNTの光電場増強効果の存在を検証するため、ジメチルホルムアミド(DMF)を試料としたラマン散乱分光測定を行い、CNTを加えた試料と加えない試料で比較した。CNTの光学応答分散関係からは、CNTのバンド間光吸収に共鳴するHe-Neレーザー光(633nm)ではラマン散乱強度が増強されるが、共鳴しないAr^+イオンレーザー光(514nm)では増強は観測されないはずである。DMF試料で期待どおりの結果が得られた。しかし、これがCNTによる光電場増強効果によるものであるかどうかを確かめるためには、個々のナノ物質による光電場増強効果をSTMで直接観測できればよい。独自に考案した方法の妥当性を検証するため、光電場増強効果が起こることが知られているAuナノロッドを試料にして実験を行ったところ、期待される結果を得た。結局、再現性あるスペクトルを取得するためには、光源強度の補正と光電場増強効果の有効利用が重要で、CNT探針の採用が有望であるとの結論に達した。
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Research Products
(2 results)