Research Abstract |
球面上の偏微分方程式の高速数値解法,特に高速球面調和関数変換法と2重Fourier級数展開法に関して研究を進めた.とくに,それぞれの要素技術に関して,以下のような進展があった: 高速球面調和関数変換法関連 WEB上(URL http://www.na.cse.nagoya-u.ac.jp/reiji/fltss/index.html)に公開した球面調和関数変換法に対する高速アルゴリズム・ライブラリ・ルーチン(FLTSS)の実用性を高めるために、一般化FMMの前処理に工夫を施し、演算量のオーダーを従来のO(N^3)からO(N^2)に改良した.また、新しい高速化のアイデアとして,QRによる低階数近似の概念を導入し,その性能評価を行った. 2重Fourier級数展開法関連 (1)不等間隔FFT 2重Fourier級数展開法の安定化のためには,不等間隔FFTが重要である.本研究では,特に,順変換について詳細に研究を行った.順変換の計算法には,大きく分けて2種類あり,連立一次方程式を解くものと,単純な逆変換と同型のものがある.前者については,連立一次方程式の解法としてどのようなものを用いるかが,重要になるが,様々な解法を数値実験を通して比較し,等間隔FFTを前処理とするBi-CG法が精度,安定性の両面から,もっとも優れていることを見出した.しかし,単純な逆変換と同型のものと比較するとき,精度,安定性の面で,劣ることも明らかとなり,連立一次方程式を解く形での不等間隔順FFTは,ほとんど,意味がないことが判明した.単純な逆変換と同型の不等間隔順FFTについては,精度の標本点分布依存性について調べ,二重指数関数型変数変換を用いて,標本点を定めることが有効あることを見出した. (2)等間隔FFTの高速化 2重Fourier級数展開法の高速化のためには,等間隔FFTの高速化は不可欠である.とくに,現在ある様々な計算機アーキテクチャに対応した等間隔FFTの高速化が重要である.本研究では,PCクラスタにおける並列三次元FFTのブロックアルゴリズム,ベクトルSMPノードを搭載した分散メモリ型並列計算機における並列一次元FFTアルゴリズムなどを提案し,その性能評価を行った.
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