2003 Fiscal Year Annual Research Report
き裂の伝播挙動を支配する法則の解明(正弦波状き裂、らせん状き裂を例として)
Project/Area Number |
14350051
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤本 浩司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40182993)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩谷 義 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30013733)
佐藤 勝彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30010911)
|
Keywords | き裂 / 破壊 / き裂伝播 / ガラス / 正弦波状き裂 / らせん状き裂 / 脆性破壊 / 弾性 |
Research Abstract |
本研究では、破壊現象を材料の切断・割断加工に応用するために、き裂の伝播径路を自由にコントロールできるよう、「き裂の伝播挙動を支配する法則」を解明することを最終目的としている。今回はこの研究の一環として、古くから知られた、(1)一様に熱したガラス平板を冷水中に徐々に沈下させる際に生ずる規則正しい正弦波状き裂、(2)ガス輸送管が破壊する際にしばしば生ずる正弦波状き裂、さらに、(3)一様に熱したガラス円管を冷水中にその軸方向に徐々に沈下させる際に生ずるらせん状き裂に着目し、その伝播挙動のメカニズムを考究することを目的とする。今年度は、(1)に関して、昨年度完成した実験装置を用い、加熱温度、沈下速度、ガラス平板の厚さ・サイズ等をいろいろと変化させて体系的実験を行った。その結果、沈下速度が大きいほど正弦波状き裂の波長が長くなること、加熱温度が小さいほど正弦波状き裂の波長が短くなること等の知見が得られた。また、き裂の存在を考えない熱応力解析を行った結果、水面下ではき裂が水面に対して垂直に伝播しようとすること、水面上ではき裂は水面に平行な方向に曲がろうとする傾向があることがわかり、正弦波状き裂発生のメカニズムがある程度明確になったが、来年度はき裂の存在をも考慮したより精確なき裂伝播のシュミレーションを試みる予定である。また、(2)に関しては、ガラス円管の径・肉厚、破壊時の水圧をいろいろと変えて体系的実験を行い、生ずる正弦波状き裂の波長、振幅がそれぞれ円管の外径の約4倍、0.4倍になっていることを見出した。さらに、正弦波状き裂の弾性解析を連続分布転位法により行い、エネルギ解放率を計算した。その結果、複数のき裂の干渉効果や多軸応力効果により正弦波状き裂が発生するのではないかと思われるが、これについてはより詳細な計算が必要である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 藤本浩司: "正弦波状き裂について"日本機械学会北海道支部第43回講演会講演概要集. No.032-1. 2-3 (2003)
-
[Publications] 岡田匡史: "熱応力によってガラス板に生じる波状き裂の伝播"日本機械学会第11回機械材料・材料技術講演会講演論文集. 57-58 (2003)
-
[Publications] Fujimoto, K.: "Mechanical Properties of Silicon Impregnated C/C Composite Material at Elevated Temperature"Advanced Composite Materials. Vol.14 No.11. 393-403 (2003)
-
[Publications] Kakiuchi, T.: "Relationship between Fracture Modes and Fractality of Fracture Surfaces"JSME International Journal. Vol.46 No.3. 278-282 (2003)
-
[Publications] Fujimoto, K.: "Degradation of Materials by High-Energy Atomic Oxygen"JSME International Journal. Vol.46 No.3. 283-289 (2003)
-
[Publications] 藤本浩司: "原子状酸素の高速衝突による炭素系材料の劣化の微視的様相(通常の酸化との比較)"プラズマ応用科学. Vol.11. 93-100 (2003)
-
[Publications] 矢川元基(編集委員長): "構造工学ハンドブック"丸善. 1072(139-148) (2004)