2003 Fiscal Year Annual Research Report
微量サンプルの拡散係数とそのマイクロスケール分布の高速測定法の開発
Project/Area Number |
14350113
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
長島 昭 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (80051514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長坂 雄次 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40129573)
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Keywords | 熱物性 / 拡散係数 / 液体内拡散 / ソーレー効果 / ヘテロダイン干渉計 |
Research Abstract |
微量サンプルの拡散係数を,100ms以下の短時間で測定することができ,さらに液体構造中での拡散係数の2次元分布を測定することが可能な拡散係数測定装置の開発を行った.前年度に構築したヘテロダイン干渉計に差動式検出部を構成することで高感度化した濃度分布検出機構に更なる改良を加え,拡散係数を測定する原理を確立した.また,開発した測定装置の特徴である,微量サンプルへの適用が可能である点,拡散係数の濃度依存性の測定が可能である点,低拡散物質でも擾乱の少ない測定が可能な点を活かして,複数の異なるサンプルの拡散係数測定を行い,本測定装置の有用性を明らかにした.具体的には以下に示す研究成果を得た. 1.光学系の構成の改良を行い,5μlの微量サンプルの測定を可能にした. 2.振動等の抑制に精密DSPシステムを導入し振動の大幅な低減に成功した. 3.検出系にダブルロックインシステムを導入し,非常に高感度でありながら,振動等の影響を受けない干渉システムの構築に成功した. 4.2次元分布測定への適用性を検討するために,回折格子を用いた位相分布の測定を行い,干渉計の空間分解能が2μmであることを確認した. 5.光学系と実験条件の最適化手法について検討し,干渉縞間隔の最適値,試料厚みのなどの条件の最適化を行った. 6.具体的な測定対象としてポリスチレンの酢酸エチル溶液,およびフラーレンの有機溶媒溶液の拡散係数の濃度依存性の測定を行い,拡散係数が小さくこれまで測定が困難であった巨大分子の拡散係数の測定への適用性を明らかにした. 以上の具体的な成果を得ることができ,干渉計とソーレー効果を用いたシステムが,低拡散物質の拡散係数測定と分布測定に適用可能であることを明らかにした.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 長島 昭: "Measurement of mass diffusion coefficient for Fullerene (C60) in solutions by the Soret forced Rayleigh scattering method"Asian Thermophysical Properties Conference. 予定. (2004)
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[Publications] 長島 昭: "フラーレンの溶媒中拡散係数の濃度依存性"第41回日本伝熱シンポジウム講演論文集. 41号(予定). (2004)
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[Publications] 長島 昭: "Development of the measurement system using the Soret effect for micro-scale mass diffusion properties"International Symposium on Micro-mechanical Engineering. 1. 375-380 (2003)
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[Publications] 長島 昭: "ソーレー効果と光ヘテロダイン干渉計を用いた拡散係数測定法"第24回日本熱物性シンポジウム講演論文集. 24号. 309-311 (2003)
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[Publications] 長島 昭: "ソーレー効果と光ヘテロダイン干渉計を用いた拡散係数測定法"第40回日本伝熱シンポジウム講演論文集. 40号. 717-718 (2003)
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[Publications] 長島 昭: "光ヘテロダイン干渉計を用いた拡散係数測定法"第23回日本熱物性シンポジウム講演論文集. 23号. 295-297 (2002)