2002 Fiscal Year Annual Research Report
形状制御量子ドットによる超高速・高非線形光学応答の同時実現
Project/Area Number |
14350167
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
和田 修 神戸大学, 工学部, 教授 (90335422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 充 富士通研究所, 基盤技術研究所・フォトノベルテクノロジ研究部, 部長
喜多 隆 神戸大学, 工学部, 助教授 (10221186)
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Keywords | 量子ドット / 光デバイス / フォトルミネッセンス / コラムナドット |
Research Abstract |
本年度は、本研究の目的を達成するための基礎となる形状制御量子ドットの基本的な光学的特性を把握するために、分子線エピタキシー法によって形状制御した量子ドットのフォトルミネッセンス発光特性の解析に重点を置いて研究を進めた。量子ドットのフォトルミネッセンス発光特性に対しては、これまでにドットの形状の効果が発光スペクトルに与える影響については一部検討が行われているが、光学遷移の詳細を反映する偏光特性などについての詳細な研究は行われていない。特に、光アンプや光スイッチデバイスへの応用において必須となる導波路構造に量子ドットを導入した場合の偏光特性については、全く検討は行われていない。 本年度は、このような検討が可能となるように、本年度申請備品であるCCD赤外分光検出システムを導入し、これと現有顕微フォトルミネッセンスシステムとを組み合わせ、ミクロンサイズの領域を高感度で偏光特性を含めたスペクトル特性が計測できるシステムを構築した。また、導波路構造の端面からの光励起と光検出ができるシステムを構成した。 ドット形状制御には、自己形成ドットをスタック化して得られるコラムナドットの手法によってアスペクト比を制御した。スタック数1から32までの広い範囲で変化させて形状を制御して検討した結果、発光波長がスタック数の増加に伴い長波長化するのに加えて、スタック数が小さい領域では従来報告と同様に基板面に沿って扁平なドット形状を反映するTE偏光が優勢な特性を示すが、スタック数が32では逆にTM優勢な特性を示す。また、スタック数8付近でTE/TM比がほぼ1となることが分った。この現象は、スペーサ層が充分薄いためスタックの増大に従って積層ドット間の波動関数の結合により、スタック構造全体がほぼ等方的な形状を持つ量子ドットとして振舞うことを裏付けるものと考えられ、ドット形状により光学遷移特性を制御できる事を実証している。また、本結果は導波路構造中の量子ドットにおいて偏光無依存特性を実現できることを実証したものであり、光スイッチなど実用デバイスへの応用に向けても、極めて重要な成果である。
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Research Products
(1 results)