2002 Fiscal Year Annual Research Report
オールソリッド変電所構築のための機能傾斜材料の開発
Project/Area Number |
14350171
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田中 祀捷 早稲田大学, 情報生産システム研究科開設準備室, 教授 (50253539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小迫 雅裕 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 助手 (80350429)
平井 直志 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 講師 (30329122)
大木 義路 早稲田大学, 理工学部, 教授 (70103611)
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Keywords | オールソリッド変電所 / 機能傾斜材料 / ナノコンポジット / ポリアミド樹脂 / ポリエチレン / 部分放電劣化 / 空間電荷 / 架橋残渣 |
Research Abstract |
3年計画の1年目に当たるが、オールソリッド変電所構築のための機能傾斜材料の開発において、重要な新しい発見がなされた。それは高分子絶縁材料に少量のナノ粒子を混ぜると耐部分放電性が飛躍的に改善されることを明らかにしたことである。実際、ポリアミド樹脂に層状珪酸塩のナノ粒子を数%添加すると、部分放電による表面劣化に対する耐性が大きく改善された。IEC(b)電極を用いて厚さ1mmのポリアミド系ナノコンポジットに4kV〜10kVの商用数波高電圧を印加して、表面劣化状況をSEMおよびAFMで観察した結果である。 従来、高分子材料にはミクロン・サイズのシリカなどの無機物質を大量に混合して実用的な高分子絶縁材料としていたが、今回のものはこれまでの概念とは全く異なるものである。ナノ・サイズの無機粒子を少量の添加ということで、もとの良好な性質を維持しながら目的的に性能を向上させることができる手法が確認されたことは画期的である。 これに到る考察として英文論文3件を上梓した。種々の高分子絶縁材料の界面劣化現象を考察しメカニズムを明確にした論文、シリコーン樹脂の霧中における電圧印加表面(界面)劣化を明らかにした論文、充填剤強化およびガラス繊維強化によるエポキシ樹脂の内部界面の水・電圧複合劣化現象を解明した論文である。 さらに、低密度ポリエチレン絶縁材料について空間電荷形成に大きく影響を及ぼすものは架橋残渣のクミルアルコールであることを突き止めた。従来直流電圧特性はアセトフェノン、αメチルスチレン、クミルアルコールなどの架橋残渣に大きく支配されることは予想されていたが、脱気処理、架橋構造、化学構造特定などの詳細な研究手法により、原因が特定できた。この成果は今後の絶縁設計に大きな指針を与えるものであり、実際のケーブル材料において同じ結果が得られるのか検討して行きたい。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] T.Tanaka: "Aging of Polymeric and Composite Materials -Aspects of Interfacial Performances in Aging -"IEEE Trans. Dielectrics and Electrical Insulation. Vol.9, No.5. 704-716 (2002)
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[Publications] A.E.Vlastos, T.Tanaka, et al.: "Development of A Test technique to Assess a Polymer's Long Term Ability to Suppress Leakage Currents under Salt Fog Condition"CIGRE Electra. No.201. 8-19 (2002)
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[Publications] T.Tanaka, et al.: "Interfacial Phenomena Affecting Electrical Insulating Properties in Composites"CIGRE Electra. No.202. 38-48 (2002)
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[Publications] N.Hirai, T.Tanaka, Y.Ohki, et al.: "Chemical Group in Crosslinking Byproducts Responsible for Space Charge Trapping in Polyethylene"Proc. IEEE CEIDP. No.5C-13. 626-630 (2002)
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[Publications] 平井, 田中, 大木ほか: "脱気処理が架橋ポリエチレンの空間電荷形成に及ぼす影響"第34回電気電子絶縁システムシンポジウム論文集. No.J-1. 197-200 (2002)
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[Publications] 平井, 田中, 大木ほか: "低密度ポリエチレン中の空間電荷形成に与える架橋剤分解残渣の化学基"電気学会誘電・絶縁/電線・ケーブル合同研究会. No.DEI-02-61. 7-12 (2002)
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[Publications] 平井, 田中, 大木ほか: "架橋ポリエチレンの空間電荷形成に与える架橋構造の影響"電気学会放電/誘電・絶縁材料研究会. No.DEI-03-14. 52-56 (2003)
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[Publications] 小迫, 平井, 大木, 田中ほか: "ポリアミド系ナノコンポジットのIEC(b)電極による部分放電劣化"電気学会全国大会講演論文集. No.2-106. 119 (2003)
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[Publications] 平井, 田中, 大木ほか: "架橋ポリエチレン中のホモ電荷トラッブの及ぼすクミルアルコールの役割"電気学会全国大会講演論文集. No.2-069. 72 (2003)