Research Abstract |
本年度も,平成14,15年度と同じ4種類の課題の研究を行うとともに,QoSマッピングによるユーザレベルQoS評価研究の総括を行った.この総括の発表は,2005年3月の電子情報通信学会総合大会でのシンポジウムで招待講演として行われた. 具体的な研究内容の第1は,ユーザレベルQoS研究の準備としての音声・ビデオ伝送アプリケーションレベルQoS評価の研究である.Bluetoothによって音声・ビデオ伝送を行う場合に,Bluetoothプロトコル階層間でのパケットセグメンテーションの不整合が,アプリケーションレベルQoSに及ぼす影響を評価した. 第2は,ライブ音声・ビデオをマルチキャスト伝送する場合に,端末間同期品質に焦点を合わせたアプリケーションレベルQoSの評価研究である.3種類の端末間同期方式を対象として,インターネットの階層構造を反映したTiersモデルを用いて3方式を比較し,高負荷時における分散制御方式の優位性を示した. 第3は,距離尺度となるQoSパラメータを用いたユーザレベルQoSについての二つの研究である.一つは,ライブ音声・ビデオ伝送においてエンドツーエンド遅延の平均と標準偏差がユーザレベルQoSに及ぼす影響の心理学的測定法による評価である.もう一つは,ユーザレベルQoSの連続評価の研究である.これ以外のユーザレベルQoS評価の研究は,ある一定期間音声・ビデオの観測を行い,その期間の最後にユーザレベルQoSを評価する(すなわち,全期間の平均値を計算する)のに対して,この研究はユーザレベルQoSの時間変化の表現を可能とする. 第4は,音声とビデオの相互補完性の研究である.4種類のコンテンツ(サッカー,テニス,ニュース,ミュージッククリップ)が相互補完性に及ぼす影響を定量的に評価し,補完の度合いはコンテンツの種類に依存することを示した.
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