2003 Fiscal Year Annual Research Report
生体・環境モニタリングのための微分分光画像化システム
Project/Area Number |
14350220
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥山 雅則 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (60029569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 実 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (20294168)
山下 馨 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (40263230)
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Keywords | スペクトル画像 / 微分分光 / 差分画像 / 特徴抽出 / 変調撮像 |
Research Abstract |
二波長同時観測装置と狭帯域バンドパスフィルタ(干渉フィルタ)を組み合わせてリアルタイム波長変調撮像系を構築した。これまでの圧電駆動型波長可変干渉フィルタに比べて、特徴帯域の透過光量を大きくとることができ、また機械的駆動部分が無くなったため透過帯域のスペクトルの安定性が向上した。さらに、差分前の二つの画像の取得に時間差が無くなったため、対象物体の移動に伴う偽の差分情報が画像に現れることが無く、動きのある対象物や、時間的にスペクトルが変化する対象物についても特徴抽出が可能となった。このように改良を加えた撮像系に、可視および赤外のカメラを装着して波長変調画像の撮像を行った。 生体モニタリングとして、人体の血液中のヘモグロビンの酸化・還元について画像化を試みた。酸素と結びついた酸化ヘモグロビンは540nmと580nm付近に吸収ピークを持ち560nm付近では吸収率が小さい。酸素を放出した還元ヘモグロビンは550nm付近に吸収ピークを持つ。また両ヘモグロビンとも500nm付近では吸収率がほぼ同一で小さい。そこで、500nm付近に透過ピークを持つ干渉フィルタと550nm付近に透過ピークを持つ干渉フィルタを用いて両フィルタ透過画像の差分を取ることにより、酸化ヘモグロビンの影響を受けずに還元ヘモグロビンの画像化が可能となる。撮影対象としては人間の手の甲を選んだ。手首部分を圧迫することにより静脈血の還流を妨げ、時間とともに手の甲の表面近くの毛細血管に静脈血が滞留する様子をリアルタイムで観測し、動画として記録した。今後この画像計測と平行して血液の状態を測定して画像情報を定量化することができれば、非接触で特殊な光源等も用いることなくカメラによる撮影のみで患者の酸素飽和度等をモニタするシステムが実現可能になると考えられる。
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[Publications] K.Yamashita: "Wavelength-Differential Imaging for Extraction of Characteristic Spectra"Sensors and Actuators : A. Physical. 97-98. 179-183 (2002)
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[Publications] 山下馨: "蛍光・偏光・波長変調を用いた差分撮像"電気学会フィジカルセンサ研究会資料. PHS-02-8. 7-10 (2002)