Research Abstract |
昨年度後半からの継続として,シリカとマグネシアの反応によって生成する3八面体型層状ケイ酸塩鉱物の八面体層に,マグネシウムを置換する形で,ニッケルイオン,銅イオンを取り込ませて溶出を抑制することを試みた.粉末X線回折と赤外スペクトル測定から,非常に発達の程度は弱いものの層状ケイ酸塩が生成し,少なくとも一部の金属イオンは八面体層に取り込まれていることが示唆された.この反応と,同時に起こる表面錯形成反応のため,シリカ・マグネシア混合物に固・液比1kg:2Lで8000mg/Lの銅およびニッケル塩溶液を添加した場合,30日以内に溶液濃度は0.01mg/Lまで低下した.数千mg/kgの銅,およびニッケル汚染土に土の10%程度のシリカ・マグネシア混合物を添加した場合でも,30日以内に1:10水抽出液への金属イオンの溶出濃度は0.01mg/L以下となった. 室温における層状ケイ酸塩鉱物の生成速度は研究計画段階で予想したよりも遅く,研究は現在も継続中である.ただ,シリカ・マグネシア混合物を土に添加すると表面錯形成反応を促進することから,短期的には表面錯形成反応により,長期的には新生鉱物への取り込みによって銅,ニッケルなどの溶出制御が可能であり,高レベル汚染土を受け入れる処分場における処理技術として有望であると考えている. 今年度はこの他に,土の酸性化による有害重金属の溶出機構のモデル化のため,イオン交換,表面錯形成反応を組み込んだ物質輸送コードの開発も行った.さらに,モデルにおける吸着パラメータを得るため,土の鉱物や腐植物質による重金属イオンの吸着反応についても研究を行った.
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