2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14350262
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 仁 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30171755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤本 正樹 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90016519)
真野 明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50111258)
泉 典洋 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10260530)
内島 邦秀 北見工業大学, 工学部, 教授 (40003181)
黒木 幹夫 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50002001)
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Keywords | 土砂収支 / 漂砂 / 流砂 / 海岸 / 河川 |
Research Abstract |
現在,我が国の各地で河床低下,橋梁などの構造物基礎の洗掘が顕在化している.また,沿岸部においては,大河川河口周辺などで海岸侵食が深刻な問題となっている場所が見られる.これは,これまで長年にわたって維持されてきた土砂移動の平衡が,様々な行為により乱されたことにより生じたものである.このような事実を背景に,河川上流部から沿岸域までを一貫する流砂系と捉え,流砂系全体を視野に入れた総合的な対策を講じることが求められている. 本研究では,日本国内における主要な河川およびその沿岸域を対象として,流域・海域における土砂移動を手がけてきた研究者を全国的視野で集い研究グループを組織した.個々の研究者はそれぞれの地域の流域・沿岸域の問題に精通しており,これまでも河口地形変動,河口処理などの問題を対象に「全日本比較河口学」を展開してきた実績を有する.この様に,学問分野的にもまた地域的にも横断的・広域的な対象をカバーする点が本研究グループの大きな特色であり,同時に学術的な特色となっている. 個々の研究対象における成果としては,まず,仙台海岸・石巻海岸を対象に,経験的固有関数により沿岸域における土砂収支の評価手法が確立された.特に,後者においては構造物が沿岸域の土砂収支に与える影響を定量評価できることが明らかになった.また,土砂収支の検討において,これまで大きな問題点として残されてきた河口問題に関して集中的な取り組みが行われ,岩木川・渚滑川・阿賀野川などの河口土砂動態が明らかにされた.また,興味深い取り組みとしては,伊能図に描かれた海岸地形の解析が挙げられる.これまでたかだか数十年のオーダーでの土砂移動の議論に限定されていたが,二百年前の地形にまでさかのぼることの出来る可能性が示された.
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