Research Abstract |
降雪に関しては,平成14年度に開発した陸面水文量と雨滴を含む大気の下向きマイクロ波放射を表現できる4ストリーム放射伝達モデルと,福井市において観測された,Cバンド3次元偏波ドップラーレーダ観測とNASAによる航空機搭載マイクロ波放射計・降水レーダ観測,衛星との同期実験結果の解析を行い,降雪強度と雲水量を算定するアルゴリズムを開発した.気温、気圧、相対湿度の鉛直分布,雲頂、雲低の高度などの大気パラメータをインプットとし,降雪強度を0〜10mm,雲水量を0〜2000g/m2に変化させた場合の放射伝達シミュレーションを行い,それぞれのケースにおける36.5と50.8GHzの輝度温度を算定した.この結果を逆変換し,輝度温度から物理量への変換テーブルを作成し,この変換テーブルに地上で観測された輝度温度を適用することにより,降雪強度と雲水量を算定した.観測された降雪強度と算定された降雪強度の検討を行った結果,地上観測型マイクロ波放射計で降雪を観測するときには,放射計の斜め伝搬路,地上の測定器の位置,そして,雲の移動を考慮する必要があることが明らかになり,降雪量については,雲の移動を考慮して平均した結果,観測値と実測値に良い一致が見られた. 次に,降水に関しては,チベット高原で観測された地上での降水量の観測結果と,ドップラーレーダ反射強度の関係から,降水量の分布を面的に算定する手法を確立した.まず,チベット高原のNaquサイトにおいて観測された降雨強度と,Naquサイトにおいて観測された10dB以上のレーダ反射因子(時間平均値)をグラフ化し,このグラフから,対流性のレーダエコーと層状性のレーダエコーに分類し,それぞれについて,回帰分析を行い,対流性のZ-R関係,層状性のZ-R関係を導いた.観測された降雨強度と算定された降雨強度を比較した結果,1時間毎のデータと日データのプロットで良い一致が見られた.
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