Research Abstract |
1.小水域周辺周辺の氾濫原・砂州堆積層の浸透流と水質形成に関する研究 わんどやたまりなどは,周辺堆積層との水交換があり,堆積層中浸透流の動態とその水質形成が,小水域の水質形成に大きく貢献している.本研究は,その水質形成に関与する,水の動態(水平伏流水流動,鉛直不飽和浸透)の実態把握およびモデル化を行い,水平伏流水流動については,溶存態窒素を中心とする水質形成機構について明らかにした. (1)鉛直水輸送のモデル化 植生による上向きの不飽和浸透と,降雨による下向きの浸透が,伏流水との鉛直交換に果たす役割を推測する為に,SPACを用いたモデル化を行い,土層条件(材料,層構造)や,植生の状態が,交換量にあたえる影響を明らかにするとともに,条件変化が物質輸送に与える影響の一部を示した. (2)伏流水の水質形成 氾濫原内部および周辺の水質形成には,伏流水中の水質形成,特に栄養塩物質の水質が重要になる.ここでは,現地に簡易井戸を設置し,氾濫原での面的な伏流水位分布を把握し,その流動特性を捉えた上で,同じ井戸から採水し,これを主要イオンおよび窒素同位体比を計測することで,その形成機構について明らかにした.その結果,裸地砂州であっても鉛直輸送による不飽和帯からの物質供給は無視できず,また,脱窒により,硝酸の上昇は押さえられている実態が推定された. 2.わんど周辺微地形形成機構の解明 木曽川わんどの地形形成について,その重要な要素に周辺堆積層との水交換,とくに引き潮・干潮時の浸出水が微地形形成に寄与していることが定性的に分かっている.本年度は,現地測量・流量計測および表流水位・伏流水位観測により現在の水理学的条件を把握し,資料調査を合わせて,過去からの変遷を推測する一方で,土砂水理学的アプローチにより,微地形形成のモデルを構築し,3〜5年程度の時間でこの地形が形成されたことを示した.
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