2004 Fiscal Year Annual Research Report
次善(セカンドベスト)経済における交通施設整備の便益評価に関する研究
Project/Area Number |
14350273
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森杉 壽芳 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (80026161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤松 隆 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (90262964)
上田 孝行 東京工業大学, 工学部, 助教授 (20232754)
石黒 一彦 神戸大学, 海事科学部, 講師 (60282034)
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Keywords | 次善経済 / 環境の外部性 / ヘドニックアプローチ / TCM / small-open |
Research Abstract |
本研究は次善要因を考慮した交通施設便益評価手法の開発を目的としている.本年度は最終年度であるので,下記の四つについて,本研究の最終の目的であるマニュアル化を目指して計算を実行することにより,そのマニュアル化が実現可能であることを確かめた. (1)動学的応用一般均衡モデルを用いた自動車関連炭素税導入に伴う市場経済的不便益の計測を行った.炭素税という次善要因そのものの不便益を計測した.しかも,交通部門に焦点を当てている点が特徴的である.交通部門のCO2削減目標2010年を1990年比で17%増を達成するには炭素税は3.87万円/CO2必要であり,そのときの年あたり市場経済的不便益は1.3兆円/年という値を得た. (2)動学ではなく静学的な多地域応用一般均衡モデルを用いて,特定の地域の社会資本ストックは地震などによって崩壊した時の各地域の経済的被害を計測した.具体的には関東地域の社会資本が10%減少したとき各地域の年あたりの経済的被害を等価的偏差で計算した.全国では3,400億円/年の被害であり,その大部分が関東である.中部,近畿では10億円/年程度の被害があるが,東北,中国,四国,九州では被害でなく10億/年程度の便益が発生することが判明した. (3)同じく静学的な多地域応用一般均衡モデルを用いて外航海運政策における次善要因の変化の国際経済に及ぼす便益を計測した.具体的には,アライアンスによる海運の生産性が10%変化したとき,船舶の大型化による海運の資本ストックが30%上昇したとき,内航海運市場の開放により10%を外航海運業が行うとしたとき,船員国籍を自由化して全ての船員がアジア籍となったときの貿易量に与える影響を計算した. (4)経済的リスクを考慮した社会基盤投資プロジェクトの動学的財務評価モデルを開発した.ここでは,事業をオプションとしてとらえ,リスクを証券などでヘッジ可能な要因と不可能な要因からなると考え,この不完備市場における事業の価値を推定する方法を提案し,それが実務に使えるように計算が可能であることを示した.
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Research Products
(6 results)