2002 Fiscal Year Annual Research Report
社会資本整備事業における遅延リスクの評価に関する研究
Project/Area Number |
14350275
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森地 茂 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40016473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 哲夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40272679)
堤 盛人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (70292886)
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Keywords | 時間管理概念 / 事業評価 / 遅延リスク / 不確実性 |
Research Abstract |
我が国の公共事業投資関連費が逼迫する中,効率的な事業投資が問われている.本年度は,将来発生する便益に不確実性があることを前提に,単一事業において,(1)より社会的厚生が高まる事業投資を行うための最適な供用タイミング,(2)需要の伸び等を考慮して二段階整備等整備形態を工夫できる場合の投資効果,(3)整備期間中の埋没コストが回収できない不可逆的な性質から現行の再評価制度に従って暫定供用や中止の効果,を分析した. (1)に対しては,福島空港の2500m滑走路を段階を経ずに投資するケースを想定して分析した.その結果,成長率やリスクが大きくなるほど,延期オプションの価値が大きくなるほか,B/Cが1付近の事業に対する現在投資については,事後的に期待便益に対して約55%もの損失が生じると評価された. (2)に対しては,2000mから2500mに拡張する二段階整備問題を対象に,考案した事前・再評価フレームワークを適用した.この時,最適供用タイミングから乖離することの損失を計算したところ,費用便益費が1.5〜2.5程度の工事では,期待総便益に対して事後的に2.5%〜30.1%の損失が生じることが分かった.また,便益の下方修正に関する情報を再評価に組み込むと,2023年まで待つことが最適であると判断された. (3)に対しては,再評価時に事業を継続するか,中止するかの行使期限を整備期間とするオプション行使問題と捉えモデルを構築した.分析により,再評価を一度行う場合には,用地取得を完了した時点で行うことが最もオプション価値を高め,その効果は費用便益費1.5の事業に対して期待便益の15%となった.毎年再評価を行う場合には17%となったが,用地取得完了以降はその効果はないことが明らかになった.
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