2003 Fiscal Year Annual Research Report
社会資本整備事業における遅延リスクの評価に関する研究
Project/Area Number |
14350275
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森地 茂 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40016473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 哲夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (40272679)
堤 盛人 筑波大学, 社会工学系, 助教授 (70292886)
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Keywords | 時間管理概念 / 事業評価 / 遅延リスク / 不確実性 |
Research Abstract |
我が国の公共事業投資関連費が逼迫する中,効率的な事業投資が問われている.昨年度は,将来発生する便益に不確実性があることを前提に,単一事業において,(1)より社会的厚生が高まる事業投資を行うための最適な供用タイミング,(2)需要の伸び等を考慮して二段階整備等整備形態を工夫できる場合の投資効果,(3)整備期間中の埋没コストが回収できない不可逆的な性質から現行の再評価制度に従って暫定供用や中止の効果,を分析した.本年度は需要の伸びが公共事業プロジェクトの財務状況に与える影響と,リスク軽減のための需要喚起方策に関して,フィリピンの都市鉄道プロジェクトを例に分析した. メトロマニラで1998年に開通したMRT3号線では,予測旅客数を実現した旅客数の倍以上に設定したこと,民間会社がインフラを保有し政府管理の運営会社が使用料を支払って運行する特殊な形式をとっていたこと,契約が米ドル建てで行われたためアジア通貨危機と連動したフィリピンベソの対米ドルレートの大幅な低下により使用料が2倍程度にふくれあがったこと,などの理由で使用路湯の支払いが滞っているという問題が生じている.このことが今後の鉄道プロジェクトの遂行に大きな影響を与えるため,早急の対策が必要となっている.その一つの方法として需要喚起方策に着目し,MRT3の存在自体やそのサービスレベルの認知時期と利用開始時期の関係を詳細に分析した結果,事前の広報活動等によりMRT3の認知レベルを向上させておけば初期の3カ年で10%程度の旅客数増加が可能であったが,このことがプロジェクトの財務状況を大幅に改善できる可能性は小さいことが分かった.
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