2003 Fiscal Year Annual Research Report
鉄合金のベイナイト変態に及ぼすソリュートドラッグ効果
Project/Area Number |
14350337
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
榎本 正人 茨城大学, 工学部, 教授 (70241742)
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Keywords | 鉄合金 / 拡散 / TTT-曲線 / フェライト変態 / ソリュートドラッグ / ベイナイト |
Research Abstract |
本研究は、Fe-C-Mo合金の特異な変態挙動(中温域の著しい変態の遅滞、TTT-曲線のベイ)のメカニズムを解明することを目的とする。前年度までにMoのα/γ界面偏析のTEM-EDX解析とコンピューターシミュレーションにより、ソリュートドラッグ効果によるベイ形成のメカニズムを提案した。その骨子は、ベイ付近でソリュートドラッグ効果は最大となり、ベイ以下では界面の移動速度が大きくなってMoが界面移動に追随できないこと、ベイより上ではMoの偏析は大きいが、粒界拡散係数の増加により、ドラッグ効果は減少する。 Mo合金ではMo_2C、Mo_6Cなどの炭化物が析出して、変態挙動を複雑にしている。炭化物の析出はベイ直上で起こる。そこで、磁場をかけることにより変態駆動力を変え、TTT-曲線の変化、および炭化物の析出挙動などを観察する目的で、磁場中で試料を熱処理し、試料のTEM観察に着手した。また、炭素との相互作用がほとんどないFe-C-Ni合金の熱処理も行い、変態挙動(不完全変態の有無)の検討を開始した。この合金系では不完全変態は起こらないと見られる。コンピューターシミュレーションではパラ平衡と局所平衡におけるフェライト変態をシミュレートするプログラムを作成し、炭素の拡散から合金元素の拡散が変態を律速するようになる段階まで変態をシミュレートした。これにより、ソリュートドラッグ効果と不完全変態の関係を検討している。
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Research Products
(1 results)