2002 Fiscal Year Annual Research Report
微小ギャップ半導体量子ドット中のホットキャリヤーによる蛍光の時間・空間分解分光
Project/Area Number |
14350355
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
和田 昇 東洋大学, 工学部, 教授 (40256772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 幸治 理化学研究所, 専任研究員 (30211048)
鳥谷部 達 東洋大学, 工学部, 教授 (20266993)
花尻 達郎 東洋大学, 工学部, 助教授 (30266994)
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Keywords | 微小ギャップ半導 / 量子ドット / ホットキャリヤー / 蛍光分光 / 近接場ナノフォトニクス |
Research Abstract |
2002年9月に和田は米国プリンストンにあるNEC Research Instituteに赴き、Dr.Stuart A.Solinと共にフェムト秒Tiサーファイヤーレーザ、光学顕微鏡を用いた蛍光分光の実験を行った。InAs、InSbの結晶サンプルからStokesのみならずAnti-Stokesサイドからの蛍光が観測された。Anti-Stokesの蛍光観測の報告は我々の知る限りこれまでに一報あるが、それは時間分解蛍光分光によるもので、実際の蛍光スペクトルは報告されていない。我々は、そのスペクトルを400nmにおよぶ高エネルギー領域(励起レーザ光は780nm)にわたるところまで観測した。この結果より、ホットルミネッセンスは単に高密度な一光子による電子の励起だけによるものだけではなく、二光子プロセスが大きく関わっていると結論できる。 また、光学顕微鏡の使用により、蛍光の空間的分布も観測できた。実際の蛍光が発せられる場所はレーザスポットから10〜20ミクロンにも及び、伝導帯電子の平均自由行程300nmに比べて非常に大きいことが判明した。これは、ホットエレクトロンが通常の伝導電子に比べ速度が非常に大きく、拡散的ではなく、弾道的に結晶内を移動しているということを示唆すると考えられる重要な実験結果と言える。また、レーザ強度に対し、蛍光強度は非線形的に大幅に増大し、また、蛍光の発する空間的範囲が増大することが観測された。 その他に、東洋大学バイオ・ナノエレクトロセンターにある収束イオンビーム装置を使い、SiとGaAs基盤上にパターンを構成し、InSbの量子ドットを作成する実験を始めた。高価なMBE装置を用いず、石英管内の基盤上に50nmから100nm程度の量子ドットを自己形成により作成する新方法を確立しつつある。現存のラマン装置と原子間力顕微鏡を利用した近接場光学ナノフォトニクス装置の作成を進めている。
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