2002 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導複合線材の力学的見地からの高臨界電流確保要件の解明
Project/Area Number |
14350360
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
落合 庄治郎 京都大学, 国際融合創造センター, 教授 (30111925)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 浩司 京都大学, 国際融合創造センター, 助教授 (50214060)
田中 基嗣 京都大学, 工学研究科, 助手
北條 正樹 京都大学, 工学研究科, 教授 (70252492)
|
Keywords | 超伝導複合線材変形 / 変形 / 破壊 / クラック形成 / クラック進展 / Nb-Ti / Cu / Bi2223 / Ag / 臨界電流 |
Research Abstract |
超伝導複合線材は、作製・使用中に必然的に機械的・熱的・電磁気学的応力(ローレンツ力)場にさらされるめで、ひずみや損傷が不可避的に生じ、その結果、臨界温度・臨界電流・臨界磁場などの超伝導特性が低下する。そのため、磁気浮上列車、電力貯蔵、無抵抗送電など次代の社会基盤を支える材料としての本格的実用化に向け、力学的見地からの材料評価と高超伝導特性確保要件の把握は課題の一つとなっている。本年度は、Nb-Ti/Cu及びBi2223/Ag超伝導複合線材の繰り返し応力下での微視的破壊の様相を調べるとともに、その臨界電流に及ぼす影響について調べた。得られた主な知見は以下のように纏められる。 Nb-Ti/Cu複合線材では、まずクラッド銅に疲労クラックが形成され、その後Nb-Tiフィラメントの存在するコア部へと進展した。Nb-Tiフィラメントは外力を担い、かつ、超伝導電流を輸送する主体であるので、コア部への疲労クラックの進展で臨界電流は低下し始めた。その後クラックが進展するにつれ臨界電流は低下し、クラックのサイズが臨界値を超えたところで複合線材全体が破壊した。複合線材の疲労による最終破断は正味応力基準で記述できた。クラックの進展は疲労試験時の最大応力レベルで異なり、低い場合は多数形成されたクラックのうちの一つが優先的に成長し、中間の場合は多数のクラックが同時多発的に成長し、高い場合は多数のクラックが成長したが大きな損傷に至る前に材料全体が破壊した。その結果、主クラックから離れた領域での臨界電流は中間応力レベルでのみ大きく低下した。臨界電流は、残留強度と同様に、破断フィラメント数に依存して低下した。Bi2223/Ag複合線材は疲労の応力サイクル数とともにフィラメントの破断が起こらない領域で数パーセント程度低下した後、フィラメントの破断領域で急激に低下した。クラックの成長はフィラメントに垂直の場合もあったが、平行に割れる現象も多々観察された。この現象は破壊力学的見地から説明できた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] M.Sugano, K.Osamura, S.Ochiai: "Change of critical current of Ag/Bi2223 tapes under fatigue test"Proceedings of the International Cryogenic Materials Conference. Vol.40. 485-491 (2003)
-
[Publications] S.Ochiai, M.Hojo, M.Tanaka, H.Okuda: "Fracture of filaments and its influence on critical current and residual strength of fatigued Nb-Ti/Cu superconducting composite"Cryogenics. (印刷中).