Research Abstract |
AZ31B合金およびCaを2%添加したAM60合金(AMC602)について主に研究を進めた.また,特筆すべきは,加工法を変えたことであり,連続曲げプレスにより変形を行った.すなわち,これからのマグネシウム合金の用途を考えれば,自動車用が増加することは容易に推測される.それも欧州で実用化されているように,外板としての使用が今後進められることになる.また,一方で,薄スラブキャスティングのように,薄い板が製造の出発材料となろうとしている.その際には,従来のように圧延で強加工を与えることが困難になる.そこで,薄い板であっても強加工が可能な手法を新たに考案した.それが連続曲げプレス法である.1mm程度の厚さのMg合金板を間隔6mm程度,曲率半径2mmの波板状に温間でプレスするものである.一つの方向に波板に加工した後,45°試料を回転し,再び波板にプレス,45°回転→プレス→45°回転→・・・という工程で10回以上波板状にプレス加工し,最後に平坦にプレスする. AZ31B合金については,上記手法により,溶体化処理後はφ17μmであった粒径が約5μmに減少した.AMC602合金では,16μmから8μmに減少した.一方,板厚はAZ31Bでは0.9mmから0.77mm, AMC602では1.0mmから0.85mmに減少しただけであり,狙い通り板厚を減少させることなく強加工を温間で与えて結晶粒を微細にすることができた. この連続曲げプレス法の他の特徴は,集合組織が変わることである.すなわち,圧延で強加工を与えるかぎり,底面配向の集合組織になることは避けられず,その後の加工性を低下させている.波板への加工は,単純には引張,圧縮変形であるが,一部剪断変形が加わると考えられる.そのような変形を繰り返す結果,試料表面に対して底面が40〜45°傾斜した集合組織が得られた. 本年度用いたプレス用金型は,上記形状のもの1種類のみであったが,波板の曲率および間隔と,加工温度および加工回数に依存して集合組織が変化すると考えられ,今後のマグネシウム材料製造に対して,新たな手法として提案する価値がある.
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