2003 Fiscal Year Annual Research Report
金属-金属摺動人工関節を目指したコバルトクロム合金の耐摩耗性・安全性向上
Project/Area Number |
14350375
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
塙 隆夫 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料研究センター, 副センター長 (90142736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣本 祥子 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料研究センター・研究員 (00343880)
山本 玲子 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料研究センター・主任研究員 (20343882)
丸山 典夫 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料研究センター・主幹研究員 (00343856)
黒田 大介 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料研究センター・研究員 (70343879)
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Keywords | コバルトクロム合金 / 耐食性 / 表面組成 / 耐摩耗性 / 窒素イオン注入 |
Research Abstract |
NiフリーCo-Cr-Mo合金を実用化するためには、塑性加工性や力学的信頼性をミクロ組織微細化によって向上させる必要がある。これまでに、Co-29Cr-6Mo合金およびCo-29Cr-8Mo合金(mass%)をNiフリーCo-Cr-Mo合金として新たに設計した。これら設計合金の結晶粒径を加工熱処理により制御し、それら設計合金の疑似体液中における分極特性および不働態皮膜変化におよぼすミクロ組織(結晶構造)の影響について検討した。 いずれの設計合金も試験溶液の種類に関係なく二次不働態化したが、E-MEM+10%FBS中の二次不働態領域はHanks中よりも広くなる傾向が認められた。したがって、無機イオン、アミノ酸およびタンパク質は設計合金の二次不働態化を促進すること、アミノ酸およびタンパク質は無機イオンよりも二次不働態化を促進することが明らかとなった。 大気中で生成した設計合金の不働態皮膜は、Cr酸化物を主要成分とし、他にCo酸化物およびMo酸化物を含む複合酸化物により構成されていた。また、酸化物は水和酸化物を含んでいた。Hanks液中および細胞培養液中で設計合金に生成した不働態皮膜組成は、大気中で生成した不働態皮膜組成とほぼ同等であったが、疑似生体環境中で生成した不働態皮膜に含まれるCoの濃度は大気中で生成した不働態皮膜のそれよりも低かった。また、試験溶液に含まれるPおよびCaは皮膜内部または表面で検出され、それらはリン酸カルシウムを形成していた。さらに、アミノ酸およびタンパク質は試料表面に吸着層を形成し、それらの吸着層によって皮膜の脱水および酸化反応が抑制される可能性が示唆された。 以上の結果から、新しく設計したNiフリーCo-Cr-Mo合金は高い耐食性を有しており、生体内で安全に使用できる可能性が示された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 塙 隆夫: "Metallic biomaterials and Electrochemistry"Electrochemistry. 71. 799-804 (2003)
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[Publications] 塙 隆夫: "Reconstitution and regeneration of surface oxide film on metallic materials in biological environments"Corrosion Reviews. 21(2-3). 161-181 (2003)
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[Publications] 小野寺恵美, 千葉晶彦, 廣本祥子, 塙隆夫: "新規NiフリーCo-Cr-Mo合金の疑似体液中における耐食性"第25回日本バイオマテリアル学会予稿集. 150 (2003)
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[Publications] 小野寺恵美, 廣本祥子, 塙隆夫, 千葉晶彦: "NiフリーCo-Cr合金および生体用Co-Cr-Mo合金の疑似体液中における分極挙動"日本金属学会第133回大会講演概要. 322 (2003)
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[Publications] M.Sumita, T.Hanawa, I.Ohnisi, T.Yoneyama: "Biometallic Meterials, Comprehensive Structural Integrity"Elsevier Science Ltd.. 30 (2003)