2004 Fiscal Year Annual Research Report
金属-金属摺動人工関節を目指したコバルトクロム合金の耐摩耗性・安全性向上
Project/Area Number |
14350375
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
塙 隆夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (90142736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 典夫 物質・材料研究機構, 生体材料研究センター・主幹研究員 (00343856)
山本 玲子 物質・材料研究機構, 生体材料研究センター・主任研究員 (20343882)
廣本 祥子 物質・材料研究機構, 生体材料研究センター・研究員 (00343880)
黒田 大介 物質・材料研究機構, 生体材料研究センター・研究員 (70343879)
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Keywords | コバルトクロム合金 / ニッケルフリー合金 / 摩擦摩耗試験 / 摩擦係数 / 金属イオン溶出 |
Research Abstract |
Co-Cr-Mo合金は、優れた耐摩耗性から骨頭に使用されているが、金属同士の摺り合わせでは、摩耗量が大幅に増加し、金属粉を多量に発生することが予想される。また、摩耗に伴って溶出する金属イオンの問題も解決する必要がある。本年度は、NiフリーCo-Cr-Mo合金同士を摺動させた場合の摩擦摩耗特性の評価を行った。 金属-金属摺動型の人工股関節に使用する際の性能評価のために、Niを減量しASTM F799-95に従って作製したCo-29mass%Cr-6mass%Mo合金の摩擦-摩耗特性をピン-オン-フラット往復運動型の試験機を使用し、大気中および疑似体液としての310Kのリン酸緩衝塩類溶液(PBS(-))中で、1.0、3.5、5.0MPaの接触応力下で試験した。また、試験に使用したPBS(-)中の金属イオンをプラズマ発光分光分析により定量した。その結果、大気中およびPBS(-)中の摩耗量は、試験繰り返し数に比例して増加した。PBS(-)中での摩耗量は大気中に比べて極めて少なく、両環境とも接触応力が大きいほど摩耗量は多かった。PBS(-)中の摩擦係数は大気中の約2倍であった。一方、摩耗粉やPBS(-)の潤滑挙動によって、摩擦係数は大気中よりもPBS(-)のほうが大きかった。PBS(-)中の摩耗損傷のほうが大気中よりも小さかったが、PBS(-)中では微小な凹凸が認められた。NiとMoが試験中に優先的に溶出していたが、毒性を発現するほど大きいとは認められなかった。 以上の結果から、NiフリーCo-Cr-Mo合金はPBS(-)で摩耗量が少なく、Niの溶出も抑えられているため、金属-金属摺動人工関節の素材として使用できると考えられる。
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Research Products
(3 results)