2003 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ粒子配列法によるメゾスコピック多層膜型ペルチェ冷却素子の研究
Project/Area Number |
14350378
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川崎 亮 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50177664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 龍三 東北大学, 教育情報学研究部, 教授 (20005341)
康 燕生 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80252716)
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Keywords | ペルチェ冷却 / マイクロ粒子 / 熱電半導体 / 粒子配列 / マイクロデバイス / POEM法 / 単分散球形粒子 |
Research Abstract |
昨年に引き続き高精度な機能性マイクロ粒子(球形で厳密にサイズの揃った機能性粒子)を10ミクロン〜数100ミクロンの範囲で任意の均一粒径に制御できるプロセスを検討、直径500ミクロンの、均質微細組織を持つ熱電材料マイクロ粒子(Bi-Sb系)の作製を試みた。また、この熱電マイクロ粒子を制御配列することにより、規則的に制御された粒界構造を持つ配列体を作製し、その評価を行う。 500μmのオリフィスを用いた場合、Arガス雰囲気中で噴射した溶滴は凝固に至らなかったが、Heガス雰囲気中で噴射した場合、凝固し粒子を得ることができた。粒径分布はややブロードな分布やメタルダイアフラムの変位量が大きい場合、トリプルもしくはバイモーダルな分布となった。ふるいによる分級を行った結果、粒径が約500μmの粒子を得ることができた。得られた粒子はほぼ球体ながら表面で凸がみられ、粒径が大きいほど凸は顕著である。POIM粒子断面組織は、いずれの組織もデンドライト状偏析組織である。粒径の違いによる組織変化を観察した結果、小さいオリフィスで作製された粒子の組織はより微細化していることがわかった。これは球体の準定常冷却を考えた場合、冷却速度は粒径の2乗に反比例して速度が大きくなるためと考えられる。治具の上に1次元粒子配列を行い、銅線と銅版を用いて回路を組み、ハンディスポットウェルダーによって電圧をかけ焼結を行った。コンデンサーに蓄積した電気エネルギーを瞬間的に回路に流すと、断面積の最も小さい粒子間の接触部分で熱エネルギーが高くなり、そのジュール熱によってネックを形成させることができる。放電した電力量とネックの太さの関係を測定した結果、電力量に比例してネックが太くなっていることがわかった。これは、電力量に比例して粒子の接触部に生じるジュール熱が大きくなり、溶融する部分が増加するためだと思われる。放電し焼結した粒子の組織はほとんど変わっておらず、微細なデンドライト組織となった。また、ネック部はさらに微細な自由晶が形成された。この理由としては、コンデンサーによる瞬間的な放電により粒子接触部のみが急温され溶融し、大気中で行ったため急冷されたからであると考えらる。電気炉による均一加熱焼結では、ネック部はBiリッチの粗大組織となる。しかし、放電加熱焼結は微細な組織が得られ、熱伝導率を下げ性能指数を向上させるには有利であると考えられる。48時間均質化熱処理することで、焼鈍前は偏析してデンドライト組織だった粒子が焼鈍によって均質化されることが分かった。以上のことから、最初に放電加熱法で粒子を焼結し、微細な組織となった焼結体を焼鈍して均質化を行えば、焼結体全体の組織が均質化され、非常に熱電特性において有利な方法であると考えられる。
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