Research Abstract |
凝着の基本原理を把握し,塑性変形の重要性をしるため,超高真空下での凝着挙動を観察した.異種異間凝着過程を対象とした.試料として,ワイヤーは,アルミ線,金線を使用し,箔として,金箔,アルミ箔,銅箔,ニッケル箔を用いた.真空度は1x10^<-8>Paとし,接合前には,アルゴンイオン洗浄を実施した.オージェ分光から,大気中では,どの表面にも酸化皮膜が存在するが,イオン洗浄により除去されることが確認された.金/金接合では,密着中央部から凝着が生じ,密着部全域で凝着が生じる.このような挙動は,金/ニッケル,金/銅接合でも観察された.しかし,アルミ線を使用すると,密着外周部で凝着が生じ,中央部では生じにくいことが明らかとなった.一方,アルミ箔/金線接合では,凝着は密着部中央部で主に生じ,外周部では接触痕(跡)しか観察されず,破壊痕(ディンプル痕)は生じなかった.このような理由を解明するため,加圧力に伴う接触増加挙動の詳細な観察と接触前のオージェ分析を実施した.その結果,アルミ表面には,単一層に近い酸化皮膜の存在があり,塑性密着によるその層の破壊挙動によって説明されることを明らかにした.これは,凝着接合を制御する上で重要な知見となった.すなわち,アルミ線を用いると,アルミ線が主に塑性変形し,アルミ表面が箔(パッド)にフォールディング(重なり)することにより接触が進み,密着周辺部でアルミ表面が大きく伸展することにより酸化皮膜が破壊されて凝着が生じる.この原理を適用し凝着過程の制御を行った.また,この基礎的解析は超音波微細接合の最適化条件選定に役に立った.その超音波接合は,微細接合装置(サーモソニックボンダー)を用いて,試料として金細線とアルミ線を用いて実施した.その計測制御を実施した.超音波ホーン(キャピラリー)の先端部をレーザードップラー振動計で,振動計測し,界面形成過程の計測制御を遂行した.また,得られた成果をシンポジウム等で発表し,最終報告書をまとめた.
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