2003 Fiscal Year Annual Research Report
真空アーク陰極点のインテリジェントな特性の解明と金属表面クリーニングへの応用
Project/Area Number |
14350390
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
武田 紘一 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (20315641)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 誠治 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助手 (00363739)
杉本 尚哉 秋田県立大学, システム科学技術学部, 講師 (20291784)
丸田 薫 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (50260451)
|
Keywords | アーク / 陰極点 / 真空 / 仕事関数 / 酸化物除去 / 表面粗さ |
Research Abstract |
真空アークの陰極点はエネルギー密度が著しく高く、陰極である金属表面に存在する酸化物を以下のようなインテリジェントな特性を示しつつ除去する。すなわち(1)金属表面にある酸化物の自らが探し出し、酸化物上に陰極点が優先的に形成される。(2)酸化物上に形成された陰極点は、酸化物を蒸発・揮散させることにより除去し、清浄な金属表面を作り出す。陰極点下の酸化物が除去され、金属面が現れると、陰極点は新しい酸化物を求めて自動的に移送する。(3)陰極表面の酸化物が全て除去され、清浄な金属表面だけになると、アーク電圧が上昇し、酸化物除去作用が終了したという情報を発信する。 本研究はこのようなインテリジェントな性質が発現する物理を明らかにし、この性質の応用を探索することにある。平成15年度の研究により明らかになった主な点は以下のとおりである。 (1)酸化物除去処理をしようとする陰極材料の表面にOH基を含む物質を少量塗布することにより酸化物除去速度を高めることができる。ポリエチレングリコールの塗布により酸化物除去速度が2-3倍上昇することが見出された。除去速度の向上は陰極点のエネルギー密度が上昇しているためと推定される。 (2)ケルビンプローブによる仕事関数の計測によりOH基を含む物質の塗布は表面の仕事関数を低下させる傾向があること判明した。仕事関数の低下により電子放出が容易になることが陰極点のエネルギー密度上昇に関係していると思われる。 (3)陰極点のクリーニング作用は陰極表層の急速加熱溶融、急速冷却凝固を伴う。このプロセスをモデル化して数値解析した。急冷凝固効果は非常に大きく、冷却速度は10の6乗(K/sec)を超える。結晶の微細化、内部応力の蓄積により表層が硬化し、大きな焼入れ効果が現れる。 (4)インテリジェントな特性の圧力依存性を調査した。これらの特性は必ずしも真空雰囲気で形成されるアークにだけ見られる特徴ではないことが認められた。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] K.Takeda, M.Sugimoto: "Effects of Active Elements on Oxide Removal by a Vacuum Arc"IEEE Transactions on Plasma Science. 31,No.5. 983-986 (2003)
-
[Publications] M.Sugimoto, K.Takeda et al.: "Grain structure in cathode spot trail of low vacuum arc discharge"Thin Solid Films. Xx, December(to be published). (2003)
-
[Publications] T.Nakamura, K.Takeda et al.: "Change in cathode spot behavior in vacuum arc cleaning with application of polyethylene glycol"Thin Solid Films. Xx, December(to be published). (2003)
-
[Publications] Y.Kubo, K.Takeda et al.: "Removal characteristics of oxide layer on carbon steel by low vacuum arc"16^<th> Symposium on Plasma Science for Materials. SPSM-16. 14-15 (2003)
-
[Publications] M.Sugimoto, K.Takeda et al.: "Vacuum arc cleaning of Metal Surface covered with organic contaminant"H15 秋田県立大学研究論文集. 4. 57-62 (2003)
-
[Publications] O.Solonenko, K.Takeda et al.: "Theoretical analysis and computer simulation of thermophysical process under removal of oxide layer on metal surface by vacuum arc"Proc. International Symposium on Plasma Chemistry. 16^<th>-Po.1.25. Po-125 (2003)