2004 Fiscal Year Annual Research Report
電解法によるFe-Ni合金系応力インピーダンス素子の作成と加速度センサへの応用
Project/Area Number |
14350391
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Research Institution | Kyushus Sangyo University |
Principal Investigator |
小林 繁夫 九州産業大学, 工学部, 助手 (00248345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 慎次 (株)安川電機, 技術開発本部・開発研究所・ロボティクス技術開発部, 課長
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Keywords | Fe-Ni合金電析 / 変則型共析 / 張力センサ / 磁化材料 / 磁歪型応力センサ |
Research Abstract |
センサ材として求められているFe-Ni合金薄膜の磁気特性は軟磁気特性,つまり磁化材料である。前年度までの研究において,Fe-Ni合金電析は,広い電解条件下で,より卑なFeが優先電析する変則型共析となる。この特異な現象は,Feとの共析によりNiの電析が大きく抑制されるため出現した。変則型共析時の陰極層pHは,鉄族金属の水酸化物生成の臨界値まで上昇しているものの,FeとNiの水酸化物生成臨界pHはほぼ同じであることから,この水酸化物抑制機構では変則型共析機構を説明できない。鉄族金属の電析はMOH^+およびMOH_<ad>(M=Fe, Ni)という反応中間体を経由することに着目すると,FeOH^+の解離定数がNiOH^+と比較して圧倒的に小さいことから,FeとNiの共析時においてはNiOH_<ad>の吸着サイトがFeOH_<ad>によって奪われNiの電析反応が抑制された結果,変則型共析挙動が出現するという機構を提案した。FeOHの吸着を形成し難い電解条件下では合金電析時の変則性がいずれも緩和されることが確認された。また,硫酸塩浴からの電析めっき膜の磁気材料への有効性などの知見が得られた。しかし,浴因子の違いによる磁気特性への影響についての結果は不十分であった。そこで,塩化物浴を用いて,Fe-Ni合金電析膜の磁気特性に与える影響について調査した。 1)添加剤を含む浴からのFe-Ni合金薄膜の保磁力は,Ni80%付近で最小値となる特徴を示し,これについても乾式法で報告されている傾向と同様であった。 2)保磁力は平均結晶粒径が小さいほど低下している。これより,磁気特性は結晶構造に依存することが考えられるが,その役割については詳細に検討する必要がある。 3)保持力は、高Ni側で80%前後の組成、表面状態が微細なものほど磁気材料に適している。 以上の結果から,最適な条件については今後の研究を必要とするが,電析法による磁性膜の作製は十分に可能であり,有望であることが示された。ただし,これらの制御のみでは,保磁力の低減に限界が認められたので,膜構造,内部応力などの他の要因についても今後さらなる検討が必要である。
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Research Products
(2 results)